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住まいサーフィン編集部

2025年省エネ基準適合が義務化!マンションや戸建への影響とは!?

2024年02月08日

更新日最終更新日:

2025年、すべての新築住宅が省エネ基準適合義務化の対象になります。
これからマンションや戸建てを買おうと思っている人にとっては、どんな影響があるのか気になりますよね。そもそも、省エネ基準とは何なのでしょうか。

今回の記事では、省エネ基準適合が義務化される理由やメリット・デメリットについて解説します。

この記事の編集者

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1. 省エネ基準とは

まず初めに、省エネ基準とは何なのかご説明します。

省エネ基準とは、「建築物が備えるべき省エネ性能の確保のために必要な建築物の構造及び設備に関する基準」のことです。
今の法律では、以下2つが両方とも基準を満たしていれば、省エネ基準適合住宅と認められます。

  • 一次エネルギー消費量→等級4以上
  • 外皮性能(断熱性能)→等級4以上

日常生活では聞かない用語ですよね。それぞれどのようなものなのか見ていきましょう。

一次エネルギー消費量

一次エネルギーとは、住宅で使用するエネルギーの総量のことです。具体的には冷暖房・換気・照明・給湯で使われるエネルギーを指しています。
エネルギー消費量を多く削減できるほど(つまり設備などが省エネであるほど)、一次エネルギー消費量の等級は高くなります。

等級4以上(BEIが1以下)であれば、省エネ基準の一次エネルギー要件については満たしていると言えます。

もっと詳しく知りたい方へ

一次エネルギー消費量の性能は、BEIという指標で表されます。

BEIの計算式
BEI=設計一次エネルギー消費量÷基準一次エネルギー消費量

BEIが1以下(BEI≦1.0)なら、省エネ基準を満たしています。
設計一次エネルギーや基準一次エネルギーについては、こちらの画像を参考にしてください。

BEI説明画像
画像出典:国土交通省資料「省エネ基準の概要」

外皮性能(断熱等性能)

外皮とは建物の内部と外部を隔てる境界のことで、外壁・屋根・天井・窓などが該当します。
外皮の性能が優れていると断熱性能日射遮蔽性能(日射を防ぐ性能)が高くなり、外気の影響を受けにくくなります。年中快適に過ごせるというわけです。

外皮性能はUA値(外皮平均熱貫流率)ηAC値(冷房期の平均日射熱取得率)で構成されていて、どちらも基準を満たさなければなりません。

外皮性能説明画像
画像出典:国土交通省資料「省エネ基準の概要」

UA値が低いほど熱が外へ出にくいです。冬は暖房の熱が外へ逃げにくくなります。逆に夏はクーラーの冷気が外へ出るのを防いでくれます。

ηAC値は太陽日射の室内への入りやすさのことで、数値が低いほど日射は入りにくいです。特に夏場は太陽日射が入りにくいので、冷房の効きが良くなります。

もっと詳しく知りたい方へ

UA値とηAC値の計算方法をご紹介します。

UA値とηAC値の計算式
UA値=単位温度差当たりの外皮総熱損失量÷外皮総面積×100
ηAC値=単位日射強度当たりの総日射熱取得量÷外皮総面積×100

UA値とηAC値の基準は、地域(地域区分)ごとに異なっています。首都圏で最も多いのは地域区分6です。標準的な気候の地域であれば、地域区分6に該当します。
地域区分6における等級4の基準値は、UA値が0.87でηAC値が3.0です。

2. 省エネ基準適合義務化とは?どう変わるのか?

次に、省エネ基準適合義務化について見ていきましょう。

先ほどご説明した基準を満たすのが「省エネ基準適合住宅」です。今までは一部の非住宅だけに省エネ基準適合義務が課せられていました。
しかし建築物省エネ法が改正された結果、2025年4月以降はすべての新築住宅に省エネ基準適合が義務化されます。

省エネ基準適合義務化
画像出典:国土交通省資料「省エネ基準適合義務化」

義務化されたら、省エネ基準を満たしていない住宅を建てることはできなくなります。対象は施工日以降に工事へ着手する建築物です。

2025年に省エネ基準適合が義務化される背景・理由

なぜ省エネ基準適合が義務化されることになったのでしょうか。その背景をご説明します。

2020年に政府は「2050年までにカーボンニュートラルを目指す」ことを宣言しました。
カーボンニュートラルとは温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするということです。「排出を全体としてゼロ」というのは、二酸化炭素などの温室効果ガスの「排出量」 から、植林・森林管理などによる「吸収量」を差し引いて、その合計を実質ゼロにすることを意味します。

カーボンニュートラルを実現するために、政府はさまざまな政策や法改正を実施しています。省エネ基準適合住宅の義務化も、その中の一つということです。

3. 省エネ基準適合義務化のメリット・デメリット

つづいて、省エネ基準適合が義務化されるメリットとデメリットを見ていきましょう。

メリット:住宅の省エネ性能が高いので、快適に生活できる

すべての新築住宅が一定の省エネ基準を満たすことになるので、年中快適な生活を送ることができます。
断熱性能が高い家は外気温からの影響を受けにくく、部屋の熱または冷気を外へ逃がしにくいです。冬は暖かく、夏は涼しく過ごすことができます。
冷暖房の効きが良くなるので、光熱費が削減されて節約にも繋がるでしょう。

また、省エネ性能が高い住宅は健康面にも良い影響を与えてくれます。
急激な温度差が原因で起こるヒートショックによって、毎年多くの方が死亡しています。しかし断熱性能が高い省エネ住宅なら住居内の寒暖差が少なくなるので、ヒートショックが起きにくいです。
夏も熱中症の危険を低減してくれます。

デメリット:一般的な住宅よりもコストがかかる

省エネ基準適合住宅は、省エネでない一般的な住宅よりも建築や設備のコストがかかります。販売価格帯も高くなってしまうでしょう。
義務化されてないときには「省エネ性能は高くなくて良いから、少しでも安く新築住宅を買う」という選択もできましたが、近い将来にはすべての新築住宅が省エネ住宅になります。

また、少しでも販売価格を抑えるために、一部設備がなくなったり品質が低下したりする可能性もあります。
参考までに、最近のマンションのコストダウン例をご紹介します。

  • ● 玄関ポーチ・アルコーブを無くす
  • ● スロップシンクを無くす
  • ● トイレの手洗いカウンターを無くす
  • ● ディスポーザーを無くす
  • ● 床暖房を無くす
  • ● ミストサウナを無くす
  • ● 二重床ではなく直床にする
  • ● エレベーターの台数を減らす
  • ● 床材や扉の面材の品質低下

省エネ住宅なのにやけに安い、という場合には注意が必要です。どこかしらでコストダウンされているかもしれません。

なお、省エネ住宅は初期費用がかかってしまいますが、光熱費は節約できるので、必ずしも損とは言えないでしょう。

4. 省エネ基準適合が義務化された後はどうなる?

2050年にカーボンニュートラルを実現するには、省エネ基準適合義務化だけでは十分ではありません。今後も省エネ政策は続いていきます。

最後に、2025年に省エネ基準適合が義務化された後にはどうなっていくのかご説明します。

省エネ基準適合住宅だと、減税や補助金の対象外?

省エネ住宅を購入すると、減税されたり補助金がもらえたりすることがあります。しかし、省エネ基準適合住宅だと対象外になるケースが増えています。

例えば国の補助金事業「子育てエコホーム支援事業」はZEH住宅と長期優良住宅が対象です。
2022年の「こどもみらい住宅支援事業」という同様の事業では省エネ基準適合住宅も対象でしたが、2023年の補助金事業からは対象外になっています。

新築の省エネ住宅に対する特別な減税については、このようになっています。

新築の省エネ住宅に対する減税制度等

  省エネ基準適合住宅 ZEH住宅 長期優良住宅
低炭素住宅
住宅ローン控除 対象 対象 対象
認定住宅等新築等特別税額控除 対象外 対象 対象
不動産取得税 対象外 対象外 対象
(長期優良住宅)
不動産登記の
登録免許税
対象外 対象外 対象
固定資産税 対象外 対象外 対象
(長期優良住宅)
住宅取得資金援助制度 対象外 対象 対象

※認定住宅等新築等特別税額控除は住宅ローン控除とは併用できないので注意

住宅ローン控除は省エネ基準適合住宅も対象ですが、減税額はZEH住宅・長期優良住宅・低炭素住宅に比べると少なくなります。
各減税について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

義務化によって、新築住宅は省エネ基準適合であることが当たり前になります。そのため、将来的には省エネ基準適合だと補助金だけでなく減税も受けられなくなる可能性があるでしょう。

等級はたびたび見直されている

省エネ基準適合住宅は一次エネルギー消費量と断熱等性能(外皮性能)がどちらも等級4である必要があります。

断熱等性能の等級4は、2022年3月までは最高等級でした。最高等級だった期間はなんと20年以上です。
しかし、2022年4月以降はこのように次々と新しい等級が創設されました。

近年の等級創設

2022年4月 断熱等性能等級5・一次エネルギー消費量等級6を創設
2022年10月 断熱等性能等級6、7を創設(戸建て)
2023年4月 断熱等性能等級6、7を創設(共同住宅)

2025年には省エネ基準適合義務化によって、すべての新築住宅の最低等級が「等級4」になります。
約3年前までは最高等級だったものが、一気に最低等級になるということです。少し驚きですよね。

断熱等性能等級

さらに、2030年にはすべての新築住宅の標準がZEH水準になる予定です。ZEH水準だと、断熱性能は等級5、一次エネルギー消費量は等級6が基準になります。

このように、住宅の省エネ化はどんどん進んでいくことになるでしょう。

ZEHマンションについてはこちらの記事で解説しているので、詳しく知りたい方はご覧ください。

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5.まとめ

今回の記事では、省エネ基準適合の義務化について解説しました。

次々と新しい等級が創設されていて、住宅の省エネ性能の高さは進化を続けています。家の中の快適さは昔の住宅と比べ物にならないぐらいでしょう。
政府は省エネ性能が高い住宅を推進しているので、補助金や減税なども手厚いです。
どんな家を買うか悩んでいる人は、是非省エネ性能の高さにも注目してみてください。

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