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住まいサーフィン編集部

【2024年最新】既存住宅における断熱リフォーム支援事業とは?

2024年03月18日

更新日最終更新日:

自宅が寒いとお悩みの方におすすめなのが、断熱リフォームです。

既存住宅における断熱リフォーム支援事業」で補助金を申請すれば、少ない自己負担額でお得にリフォームができます。
今回は「既存住宅における断熱リフォーム支援事業」について、制度概要や補助金の支給条件を解説します。

この記事の編集者

住まいサーフィン編集部

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1.既存住宅における断熱リフォーム支援事業とは

既存住宅における断熱リフォーム支援事業の概要

「既存住宅における断熱リフォーム支援事業」では、窓や断熱材といった高機能建材を用いた断熱リフォーム・断熱リノベで補助金がもらえます。
エネルギー消費効率の改善と低炭素化を総合的に促進する目的で、環境省が予算を取って実施している補助金事業です。

環境省が主催する事業ですが、執行団体は「公益財団法人北海道環境財団」となっています。
北海道環境財団と聞くと地域限定かと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、全国を対象とした補助金です。

断熱リフォームのメリット

高機能建材を用いたリフォームで断熱効果を上げる最大のメリットに、冷暖房効率の向上があります。
断熱性・気密性の向上により冷暖房が効きやすくなると、「冬は暖かく、夏は涼しい家」となります。

この他にも、断熱リフォームには次のようなメリットがあるとされています。

  • ● 家全体が適温に保たれる
  • ● ヒートショックや熱中症のリスクが下がる※1
  • ● 光熱費の削減
  • ● 外部騒音が軽減
  • ● 結露やカビの発生減少※2

※1 部分的な断熱工事は、断熱改修した居室とその他箇所との温度差が大きくなり、ヒートショックが発生する可能性があります。施工範囲は慎重にご判断ください。
※2 気密性能の向上により、室内湿度が上がり結露が発生する可能性があります。その場合、加湿を控える、換気システムを導入するなどの措置で結露を抑えることができます。

さらに断熱リフォームの効果は自宅の快適性を向上させるだけではありません。
省エネ・省CO2が実現されるので、環境にも配慮した住まいとなります。

対象工事

既存住宅における断熱リフォーム支援事業の対象となる工事内容として、2つの区分が設けられています。
併用はできませんので、どちらかの区分を選択する必要があります。

  • ● 断熱材、窓、ガラスを用い、住まい全体での断熱改修 ⇒ トータル断熱
  • ● 窓を用い、居間をメインに断熱改修 ⇒ 居間だけ断熱

トータル断熱

家全体を断熱改修したい方は、「トータル断熱」がおすすめです。

トータル断熱では、省エネ効果(15%以上)が見込まれる改修率を満たす高機能建材(断熱材、窓、ガラス)を用いたリフォームが対象となります。

トータル断熱の対象製品は下記のようになっています。

補助対象製品 住宅区分
戸建住宅 集合住宅
(個別)
集合住宅
(全体)
高性能建材 ガラス・窓・断熱材
玄関ドア
蓄電システム × ×
LED照明(共用部) × ×
蓄熱設備 × ×
熱交換型換気設備等
(熱交換型換気設備・空調設備)
×
EV充電設備 × ×
<注意事項>
  • ●玄関ドアは、ガラス・窓・断熱材による改修と同時に導入する場合のみ補助対象となります
  • ●蓄電システム・蓄熱設備は、戸建住宅の断熱改修と同時に導入する場合のみ補助対象となります
  • ●LED照明は、集合住宅(全体)の断熱改修と同時に、蛍光灯等のLED照明以外からLED照明へ変更する場合のみ補助対象となります
  • ●熱交換型換気設備等は、戸建住宅・集合住宅の断熱改修と同時に導入する場合のみ補助対象となります
  • ●EV充電設備は戸建住宅の断熱改修と同時に購入する場合のみ補助対象となります

トータル断熱を利用する際は、事業の適用対象として登録された製品を使用した上で、部位別に定められた性能値を満たす必要があります。
補助対象製品は公式サイトから検索が可能です。

また、戸建て住宅の場合は最低改修率※を満たす必要があります。

※最低改修率の計算について

まず、断熱改修する居室等と改修部位(天井・外壁・床・窓・ガラス)を決定します。
選択した改修部位は、居室内で外気に接する部分全てに設置する必要があります。
天井改修を行いたい場合、特定の居室部分だけでなく天井全体を改修する必要があります。

選択した部位の面積合計を、住宅の延べ床面積で除算した結果が改修率となります。

  • 改修率(%)=補助対象床面積合計(㎡)/延べ床面積(㎡)×100

計算結果が地域区分ごとに定められた最低改修率を満たしている必要があります。
算出した改修率が最低改修率を超えない場合は、次のような見直しが必要です。

  • ● 改修する居室等を増やし、改修率を上げる
  • ● 断熱改修部位の組合せを変更する

また、マンション(集合住宅)の居室をリフォームする際は、窓・ガラス全部(玄関ドア以外のガラスを用いた開口部全て)を改修する必要があります。
窓の改修工法は、カバー工法窓取付・内窓取付、ガラスの改修工法は、カバー工法・ガラス交換が対象です。カバー工法とは、既存窓枠を取り外さずに、枠の上から新しい窓を取り付ける工法を指します。

断熱材の施工は窓・ガラスの改修と同時に実施し、選択した部位について外皮に接する部分全てに施工する場合のみ補助対象となります。

その他の詳細は、「トータル断熱」公募要領をご確認ください。

居間だけ断熱

在室時間が長い居間の断熱を行いたい方には、「居間だけ断熱」がおすすめです。

居間だけ断熱を利用する際の要件として、居間の窓全部(ガラスを用いた開口部全て)を必ず改修する必要があります。
窓の改修は断熱効果が特に高く、建築業界では、「家を断熱するならまずは窓から」とも言われています。

なお、窓の改修工法は、カバー工法窓取付・外窓交換・内窓取付が補助対象です。
ガラスの改修は補助対象外ですのでご注意ください。

居間だけ断熱の対象製品は下記のようになっています。

補助対象製品 住宅区分
戸建住宅 集合住宅
(個別)
集合住宅
(全体)
高性能建材 ガラス・窓・断熱材
玄関ドア
蓄電システム × ×
LED照明(共用部) × ×
蓄熱設備 × ×
熱交換型換気設備等
(熱交換型換気設備・空調設備)
×
EV充電設備 × ×
<注意事項>
  • ●居間を改修する場合に限り、玄関ドアの交換や他の居室の窓改修を行うことができます
  • ●蓄電システム・蓄熱設備は、戸建住宅の断熱改修と同時に導入する場合のみ補助対象となります
  • ●LED照明は、集合住宅(全体)の断熱改修と同時に、蛍光灯等のLED照明以外からLED照明へ変更する場合のみ補助対象となります
  • ●熱交換型換気設備等は、戸建住宅・集合住宅の断熱改修と同時に導入する場合のみ補助対象となります
  • ●EV充電設備は戸建住宅の断熱改修と同時に購入する場合のみ補助対象となります

居間だけ断熱を利用する際は、事業の適用対象として登録された窓を使用する必要があります。

その他の詳細は、「居間だけ断熱」公募要領をご確認ください。

補助金額

既存住宅における断熱リフォーム支援事業の補助金額は、「トータル断熱」「居間だけ断熱」のどちらも共通となっています。

補助対象製品 補助率 補助金の上限額
高性能建材 補助対象経費の
1/3以内
戸建住宅:120万円/戸
(玄関ドア5万円を含む)
集合住宅:15万円/戸
(玄関ドアも改修する場合は上限20万円/戸)
玄関ドア
蓄電システム 20万円
LED照明(共用部) 1か所あたり8,000円
蓄熱設備 20万円
熱交換型換気設備等 5万円
EV充電設備 5万円
<注意事項>
  • ●蓄電システム、蓄熱設備、熱交換型換気設備等の導入・改修に係る補助金額の合計は高性能建材の補助金額とは別途補助。ただし、高性能建材を活用した改修に係る補助金額の合計以下である必要があります
  • ●高機能建材・蓄熱設備については、製品購入費だけでなく、設置工事にかかる費用も補助対象となります
  • ●蓄電システムや熱交換型換気設備の工事費用は補助対象外となります

補助対象者

既存住宅における断熱リフォーム支援事業では、次のような者が補助金の利用対象となります。

  • ● 自宅の所有者、所有予定者(個人)
  • ● 対象となる住戸に住民票を置く居住者(個人)※
  • ● 管理組合等の代表者
  • ● 賃貸住宅の所有者(個人・法人問わず)

※自宅を所有していない居住者が申請する場合は、所有者の許可が必要です。申請できる居住者は、原則所有者の親族となります。

2.既存住宅における断熱リフォーム支援事業の利用の流れ

ここからは、既存住宅における断熱リフォーム支援事業について実際の申請手順を確認していきましょう。

申請時期

断熱リフォーム支援事業は公募期間が定められており、期間内に申請を行う必要があります。

令和4年(2022年)、令和5年(2023年)はそれぞれ年4回公募があり、1月・3月・6月・9月に申し込みが開始されています。

現在は、令和6年(2024年)3月公募が受付中です。
参考として、過去の公募スケジュールをご紹介します。

開始時期 公募期間
令和6年 3月 3/18~6/14
1月 1/24~3/1
令和5年 9月 9/4~12/8
6月 6/23~8/10
3月 3/20~6/16
1月 1/16~3/3
令和4年 9月 9/12~12/23
6月 6/17~8/10
3月 3/14~6/3

※公募期間中であっても、予算上限に達した場合は受付終了する場合があります。

申請方法

既存住宅における断熱リフォーム支援事業は全国を対象に公募を行っており、断熱リフォームを検討している所有者・居住者が自由に申請できます。

補助金申請のフローは下記となっています。


既存住宅における断熱リフォーム支援事業 公募要領より引用

提出時に必要な書類は次のとおりです。


〇:全員提出 △:該当者のみ提出
既存住宅における断熱リフォーム支援事業 公募要領より引用

断熱リフォームを検討している所有者・居住者(申請者)は、「交付申請書」及び提出書類を作成し、北海道環境財団に提出します。
必要書類の作成や申請については、工事を依頼するリフォーム業者に手続きを代行しても問題ありません。

書類の申請後、北海道環境財団にて審査が行われます。補助金の交付が決定されてから契約、着工へと進んでください。
交付決定が通知される前に発注した場合、補助金の対象外となってしまいますのでご注意ください。

工事が完了し補助金が入金された後、申請者は2年間、北海道環境財団が実施するエネルギー使用状況の定期報告アンケートを提出する義務があります。

3.既存住宅における断熱リフォーム支援事業に関するよくある質問

続いて、既存住宅における断熱リフォーム支援事業に関するよくある質問をご紹介します。

Q. 他の補助金事業との併用はできますか?

既存住宅における断熱リフォーム支援事業と、国が実施する他の補助金事業は併用できません。

東京都が主催する「既存住宅における省エネ改修促進事業」等、地方自治体による助成金事業との併用は可能です。
併用する際は、補助金の一部に国費が充当されていないことを確認してください。

Q. 部屋の一部に高機能建材が使用されている場合の扱いは?

リフォーム予定の住宅の一部にすでに高機能建材が使用されている場合、その部分の改修は必要ありません。
補助対象製品に掲載されていることを確認の上、必要書類を添付してください。

なお、取り付け済みの高機能建材にかかった費用は請求できません。

4.既存住宅における断熱リフォーム支援事業に関するアンケート結果

最後に、既存住宅における断熱リフォーム支援事業の利用者を対象としたアンケート結果をご紹介します。
断熱リフォーム・リノベの効果が気になる方は是非ご一読ください。

今回ご紹介する内容は、既存住宅における断熱リフォーム支援事業の公式サイト「アンケート調査結果報告書」より引用しています。

既存住宅における断熱リフォーム支援事業の交付決定数(都道府県別集計)

既存住宅における断熱リフォーム支援事業を最も活用しているのは東京都でした。
続いて、神奈川県、千葉県、埼玉県となります。首都圏の方が多く活用していることが分かります。

暖房の設定温度の変化


暖房の設定温度の変化 戸建・集合(個別)

設定温度24℃超と回答した割合が工事前後で半数以下まで減少しており、全体として設定温度が下がっていることが読み取れます。
全体の6割が、断熱リフォーム後に設定温度を下げたと回答しています。

冷房の設定温度の変化


冷房の設定温度の変化 戸建・集合(個別)

設定温度26℃以上の割合が工事前後で2割弱増加しており、全体として設定温度が高くなっていることが読み取れます。
全体の5割が、断熱リフォーム後に設定温度を上げたと回答しています。

断熱リフォームの感想

最後に、既存住宅における断熱リフォーム支援事業を利用した後の感想をご紹介します。

普段あたりまえと思っていた室内環境が、帰省から戻ったときに快適性を実感しました。
コロナ下で室内環境の改善を検討時、費用面等で補助金があることが導入の後押しとなりました。冬でも床暖だけで過ごすことができて、昨近の光熱費の上昇前に断熱リフォームをしておいてよかったと思います。

 

予算の関係で断熱改修工事が出来なかった部屋がある。普段あまり使用していないこともあるが、その差がはっきりと認識できる。

 

断熱という目的でリフォームを行ったが、窓が全て二重となって、鍵も二重にかけられるため、昨今の押入り強盗事件や窃盗事件の頻発を考えると、安全性も高まったように思う。

5.まとめ

本記事では、既存住宅における断熱リフォーム支援事業の制度概要についてご説明しました。
築年数が経過した住宅でも、窓の断熱性能を上げるだけで室内環境は大きく改善します。

ご自宅の快適性を向上させたい方は、制度を活用したリフォームを検討してみましょう。

世界的にも省エネやカーボンニュートラルが重視されていますが、日本の住宅市場においても今後重要になるのが省エネ性能の高い住宅です。
国や自治体もさまざまな補助金制度でその推進をバックアップしています。

省エネ住宅の重要度は理解できたし、今なら補助金ももらえる。いざ行動しよう!とした皆さんは、以下のように思われたのではないでしょうか?

  • 補助金の仕組みが複雑すぎて、何をどうしたら良いか分からない
  • ● 補助金はもらいたいが、仕組みを理解するために学ぶ時間が取れない
  • ● 業者に騙されたニュースを聞いたことがあり、少し怖い
  • ● 実際にどの業者を選べば良いのか分からない

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