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住まいサーフィン編集部

マンションは耐用年数が過ぎたら寿命なの?築古の物件を購入するときの注意点も解説!

2023年06月03日

更新日最終更新日:

マンション価格の高騰が続いていて、エリアによっては中古物件でも相場が1億円近くなっています。
予算の関係で築30年以上の物件を検討している方もいるでしょう。

しかし、気になるのが耐用年数です。耐用年数を過ぎたら、マンションは寿命を迎えるのでしょうか。

今回の記事では、耐用年数を過ぎたらマンションはどうなるのか解説していきます。
築年数が古い物件を購入するときの注意点もご紹介するので、中古マンション購入を検討中の方は是非最後までご覧ください。

この記事の編集者

住まいサーフィン編集部

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1. マンションの耐用年数は何年?

まずは、マンションの耐用年数について見ていきましょう。

マンションの法定耐用年数

建物は、構造と使用用途によって、耐用年数が法律で定められています。

マンションはほとんどがRC造(鉄筋コンクリート造)となっているので、法定耐用年数は47年になります。

参考:償却資産の評価に用いる耐用年数

法定耐用年数を過ぎたらマンションは寿命になる?

法定耐用年数が過ぎたら、その建物には住めなくなるのでしょうか。

結論としては、法定耐用年数の経過後も住み続けることができます。

法定耐用年数は、固定資産などの減価償却の計算時に使用する年数です。
税務ルール上の数字なので、47年という年数はマンションの寿命ではありません。

減価償却については下記をご覧ください。

国土交通省の資料では、RC造の建物としての耐用年数は120年と算定されています。
また、同資料によると、固定資産台帳の滅失データを基に家屋の平均寿命(残存率が50%となる期間)を推計した結果、RC造住宅の平均寿命は68年でした(2011年調査)。

さらに、平均寿命の根拠論文を執筆された小松幸夫氏の最新論文には、建物の平均寿命が昔よりも伸びていると書かれています。
「建物の寿命と価値」

以上のことからも、マンションの平均寿命は法定耐用年数よりも長いということが分かります。
マンションの寿命は一概に何年と言えるものではなく、物件によって異なります。

マンションの寿命については、下記の記事で詳しく解説しています。

マンションの寿命はどれくらい?どんなことが寿命に関係するかについても解説!

2022/11/02

マンションの耐用年数や寿命に関係する要素について、詳しく解説していきます。

2. 耐用年数が過ぎたらどうする?

マンションの耐用年数と寿命は異なるということは分かりました。
しかし、竣工から50年近く経っているとなると、その後どうするべきなのか気になるという方も多いでしょう。

そこで、耐用年数を過ぎたらマンションはどうなっていくのか、その選択肢を見ていきます。

  • ① メンテナンス(修繕)をしながら、そのまま住み続ける
  • ② マンションを建て替える
  • ③ デベロッパーに売却をする

①メンテナンス(修繕)をしながら、そのまま住み続ける

1つ目の選択肢としては、メンテナンスを繰り返しながら、寿命になるまで住み続ける方法が挙げられます。

マンションの耐用年数は47年です。
しかし、2021年時点で築50年以上のマンションは21万戸以上ありました。
参考:築後30、40、50年以上の分譲マンション戸数(国土交通省)

耐用年数を過ぎても居住が続けられているマンションも意外と多いことが分かります。
しかし、建物が古くなってくると、安全性について不安になるでしょう。
安心して住み続けるためにも、重要なのがメンテナンス(修繕)です。

マンションの管理組合では「長期修繕計画」が作成され、その計画内容を定期的に見直しながら修繕は進められます。

記事前半でもご紹介した国土交通省の資料によると、RC造の建物としての耐用年数は120年ですが、外装仕上で延命することで耐用年数は150年になります。
適切に修繕をすることで、マンションの寿命を延ばすことができるということです。

ただし、修繕をしていても、いつかマンションが寿命を迎えるときは必ず来ます。
また、建物としての寿命はまだ先だけれど、耐震性能や設備老朽化などの理由で建て替えせざるを得ない状況になることも考えられます。

後ほど解説しますが、建て替えをする際には、一般的には高額な費用が必要です。
マンションが寿命を迎える頃には空室率が高くなり、住民も高齢化してしまってなかなか決議が進まないこともあります。
マンションに安全に住むことはできないけどその後のアクションをする費用がない、といった状況になるのが最も問題でしょう。
建て替えする場合のプロセスやステップは複雑で、時間もかかります。

寿命が来たら考えるのではなく、早い段階から管理組合で建て替え等の議論を行うのが望ましいです。

②マンションを建て替える

2つ目の選択肢として、マンションを建て替えることが挙げられます。

築年数が経ってくると、建物や設備などで修繕する箇所は多くなってきます。
修繕するのにかなり高額な費用がかかる場合には、いっそ建て替えをした方が良いという結論になることもあります。

しかし、日本では建て替えの事例はそれほど多くありません。
2022年4月1日時点で、工事完了済は270、実施準備または実施中の物件は46です。
参考:マンション建替えの実施状況(国土交通省)

建て替えが少ない理由の一つが、建て替え後に住み続けるためには住人が多額の費用を負担する必要があるからです。
建て替え後のマンションの戸数や設備等のグレードなど様々な要因によって自己負担する費用は変わってきますが、一般的には1戸あたり1,000万円~1,500万円以上かかると言われています。

マンションを建て替えするためには、住民の5分の4以上(厳密には、所有者と議決権それぞれ5分の4以上)の賛成が必要になります。
建て替え費用は用意できないけどマンションから出ていくのも嫌だ、という人もいるでしょう。
反対の人が多いと、建て替えはできません。

しかし、今後はこういった状況も少しずつ変わっていくかもしれません。
マンションの建て替えに関する法律は、たびたび改正されています。
将来的に築年数が経ったマンションは急増する見込みなので、そのときに建て替えが少しでも円滑にできるように政府は整備を進めています。

③デベロッパーに売却をする

3つ目の選択肢は、デベロッパーにマンションを売却することです。
建物をそのままにして売却する場合もあれば、建物は取り壊しをして土地だけ売却する場合もあります。

売却時に得た利益は、住民で分けることになります。
なお、建物をそのままにしてデベロッパーへ売却する場合は、取り壊しの費用分は利益から差し引かれることが一般的です。

住民たちは、今まで住んだマンションを離れて別の場所へ住むことになります。


耐用年数が過ぎたらマンションがどうなるのか、その選択肢を見てきました。
耐用年数が近い中古マンションの購入を検討している場合は、建て替えが予定されているか(議論されているか)を確認するようにしましょう。

3. 中古マンションを購入するときの注意点

最後に、築年数が古いマンションを購入するときの注意点について解説します。

住宅ローンが希望通りに組めないことがある

マンションを購入するときには住宅ローンを利用するという方は多いでしょう。
しかし、中古マンションの場合は物件によっては思ったように融資を受けられないことがあります。

住宅ローンは、購入するマンション(不動産)を担保にするローンです。
担保とは、万が一債務者(お金を借りた人)が返済できなくなったときに代わりに差し出すものです。
お金を貸した金融機関は、不動産を競売にかけてお金を回収します。

令和4年度「民間住宅ローンの実態に関する調査」によると、住宅ローンの審査項目に「担保評価」が含まれている金融機関は96.1%でした。
ほとんどの金融機関が、担保となる不動産の評価を審査時にチェックします。

つまり、担保(不動産)の評価が低いと、希望の住宅ローン融資を受けられなくなる可能性があるのです。
記事前半に減価償却の画像で解説したように、建物は時間が経過すると価値は下がっていきます。
金融機関によっては、建物の築年数によって借入期間が制限されることもあります。

ただし、住宅ローンの審査方法は金融機関によって違います。
借入期間についても、以下のように金融機関によってさまざまです。

住宅ローンの審査は複数の金融機関に申請するようにしましょう。
例えば楽天銀行は、中古物件であっても新築物件と同様の取り扱いをしているようです。
参考:住宅ローンのピックアップFAQ(楽天銀行)

修繕積立金の値上げや一時金の徴収に注意!

分譲マンションを購入すると、毎月管理費や修繕積立金を支払うことになります。
管理費も修繕積立金も、ずっと同じ金額であるとは限りません。

特に修繕積立金は、新築時から時間が経つにつれて金額が上がっていくケースが多いです。
以下は都道府県・築年別の修繕積立金平均月額相場(70㎡)になります。

都道府県 築1年 築5年 築10年
東京都 7,065円 8,326円 12,459円
神奈川県 6,617円 8,486円 11,750円
埼玉県 7,061円 7,576円 10,937円
千葉県 6,106円 7,329円 10,701円
大阪府 5,389円 6,405円 9,434円
兵庫県 5,220円 6,615円 10,045円
京都府 5,505円 6,626円 7,806円
滋賀県 5,057円 6,147円 8,245円

(2010年以降に竣工したマンションが集計対象・住まいサーフィン調べ)

それでは、築年数が古い場合はどうなのでしょうか。
東京都の場合、平均値は下記のようになりました。

築年数 築20年 築30年 築40年
平均金額 12,453円 13,792円 18,109円

(1979年以降に竣工したマンションが集計対象・住まいサーフィン調べ)

修繕積立金は、マンションの状態や修繕内容によって異なってきます。
東京都内のとあるマンションの修繕積立金(平均値)を見てみましょう。

このように、少しずつ高くなっていくマンションもあれば、途中から急に上がるマンションもありました。
値上げの幅もさまざまで、計画内容や建物修繕の状況によっては、ある年から急に修繕積立金が前年の2倍になるということもあるようです。

また、月々の修繕積立金はそれほど値上がりしていなくても、大規模修繕時に一時金を徴収するケースもあります。
一戸あたり数万円のこともありますが、大幅に足りない場合は数十万円や百万円以上になることも。

中古マンションを購入する場合は、大規模修繕の状況や積立金がどうなっているのかを十分確認するようにしましょう。

売却がなかなかできない可能性もある

将来的に売却することを前提にマンションを購入する方もいるでしょう。
また、元々は売却する予定はなくても、事情が変わって手放さざるを得ない状況になることも考えられます。

築40年のマンションを購入して10年後に売却しようとすると、そのときには築50年になっています。
築年数が古い物件は、なかなか売れなくて苦戦するかもしれません。

しかし、築50年以上のマンションであっても成約事例はあります。

マンションを購入するときに重要なのは「立地」です。
人口が減少しないエリアで利便性が高い立地であれば、マンションの価値が大幅に下がるリスクは少ないでしょう。

ただし、中古マンションは管理や修繕が適切にされていないと、劣化もひどくなります。
築年数が古い中古マンションは、立地と同じくらい管理・修繕状況も重視するようにしてください。

下記は、築20年のマンション購入に関する記事になります。
今から10年後のマンション市場についても解説しているので、是非ご覧ください。

築20年の中古マンションは購入しても大丈夫?資産価値が下がりにくい不動産の条件とは

2023/03/01

築20年のマンションを買っても大丈夫かどうかについて詳しく考えていきます。

4.まとめ

今回の記事では、マンションの耐用年数と、築古のマンションを購入する場合の注意点について解説しました。

新築マンションの供給量が減っているため、取引中古物件の平均築年数は年々増加しています。
2021年の平均築年数は22.96年でしたが、今後は30年に近づいていくでしょう。

中古マンションは新築マンションよりも安いですが、売られている価格が必ずしも適正価格とは限りません。
割高な価格で購入してしまった場合、将来売却をするときに住宅ローンの残債割れになるリスクも高まります。

損をしないためにも、周辺相場や過去の取引価格といった情報収集が重要です。

例えば、中古マンション購入検討中の皆さんは、こんな経験はないですか?

  • ● 「スーモ等で見つけた物件が6,000万円で売出されている。この駅でこの価格少し高い気がするけど、本当に適正な価格なのだろうか?」
  • ● 「適正な価格(沖式査定額:5,400万円)が分かれば、指値(値下げ交渉)を入れて、自分の予算内である5,500万円で強気に交渉出来るのになあ。。」
  • ● 「どのサイトも適正な価格が分からないし、表示されていても、マンション単位で大雑把、お部屋毎に間取り、向き、階数を考慮されていない気がする」

住まいサーフィンの各物件詳細ページでは、お部屋毎に価格査定を行っています。

これにより、購入検討しているお部屋の「適正価格」を正確に把握することができます。
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