編集部厳選!マンション知識最前線!? 不定期
住まいサーフィン編集部

【2024年・令和5年度最新】年末調整の住宅ローン控除「住宅借入金等特別控除申告書」の書き方を解説!どう記載する?

2023年09月29日

更新日最終更新日:

住宅ローン控除とは、一定の要件を満たしている場合に、所得税や住民税の控除(減税)を受けられる制度です。
自動的に控除されるのではなく、1年目には確定申告、2年目以降は年末調整の際に「住宅借入金等特別控除申告書」の提出が必要になります。

「住宅借入金等特別控除申告書」は自分で所定の事項を記入しますが、年末調整は年に1回のことなので、書き方を忘れてしまうという方も多いのではないでしょうか。

今回の記事では、2024年(令和5年度)最新の「住宅借入金等特別控除申告書」の書き方について解説します。
住宅ローン控除制度の概要についてもご説明するので、これから住宅ローンを借り入れる予定の方もぜひご覧ください。

この記事の編集者

住まいサーフィン編集部

1998年開設、マンションの適正価格や資産価値を判断するための価格情報サイト「住まいサーフィン」が運営。
宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士の資格を保有し、不動産の専門知識を持つスタッフが自宅売買に役立つ情報を発信します。
売り手と買い手の情報格差が大きい住宅業界。
自宅購入で後悔する人を減らすため、業界の専門知識・データを分かりやすくお届けします!

Twitter:@sumai_surfin
Instagram:@sumai_surfin

1. 住宅ローン控除とは何か?

まずは、住宅ローン控除制度についてご説明します。

住宅ローンを借り入れたときに、要件を満たすと所得税や住民税について控除を受けることができます。
例えば2022年に新築の認定長期優良住宅に入居すると、13年間・年0.7%(最大455万円)が控除されます。

新築住宅で住宅ローン控除を受けるための要件

新築住宅を購入して住宅ローンを借り入れた場合、控除を受けるためには以下の要件を満たす必要があります。

新築住宅の住宅ローン控除要件

  • ●新築または取得日から6か月以内に入居し、適用を受ける各年の12月31日まで引き続き居住していること
  • ●登記簿上の床面積が40平米以上で、床面積の2分の1以上が専ら自己の居住用であること
  • ●控除を受ける年の合計所得金額が、2,000万円以下であること(50平米未満の場合は1000万円以下)
  • ●住宅ローンの返済期間が10年以上で、分割して返済すること
  • ●指定期間内に、居住用財産の譲渡による長期譲渡所得の課税特例などの適用を受けていないこと
  • ●生計を一にする親族や特別な関係のある者から当該住宅を取得していないこと
  • ●贈与による住宅取得でないこと

なお、省エネ基準適合住宅でない場合は、2024年以降の入居だと住宅ローン控除を利用することができません。
2023年に建築確認を受けている場合のみ、省エネ基準適合でない住宅でも上限2,000万円まで控除は適用されます。

省エネ基準適合住宅とは

省エネ基準適合住宅と認定されるためには、入居住宅が以下2つの条件を両方満たす必要があります。

  • ●断熱等性能等級(断熱等級)4以上
  • ●一次エネルギー消費量等級(一次エネ等級)4以上

2025年には、新築建物の省エネ基準適合が義務化される予定です。
省エネ基準適合住宅については、こちらの記事で詳しく解説しています。

新築住宅の場合の住宅ローン控除額

次に、いくら控除されるのか見てみましょう。

2022年~2025年に入居した場合の住宅ローン控除額は、以下の計算式で求められます。
なお、控除の割合や上限額は、入居当時の制度や住宅性能によって異なります。

控除額の計算式(2022年~2025年に入居する場合)

  • ● 控除額=住宅ローンの年末残高等×0.7%

ローン残高の上限額

入居年 2022年・2023年 2024年・2025年
長期優良住宅・低炭素住宅 5,000万円 4,500万円
ZEH水準省エネ住宅 4,500万円 3,500万円
省エネ基準適合住宅 4,000万円 3,000万円
その他の住宅 3,000万円 適用なし※2

※1:子育て世帯と若者夫婦世帯は、2024年入居の上限額は2022~2023年入居と同様になる。
※2:2023年までに建築確認をすれば2,000万円。ただし控除は10年間のみ。

2022~2025年に上記新築住宅に入居した場合、13年間控除を受けることができます。

中古住宅の場合の要件や控除のシミュレーションについては、以下の記事で解説しています。

マンション購入したら確定申告をするの?最新の住宅ローン控除についても解説!

2023/02/20

マンション購入で住宅ローン控除を受けるための要件と、確定申告するときの必要書類や注意点について解説します。

2. 住宅ローン控除の申請方法

それでは、住宅ローン控除の申請方法を見ていきましょう。

住宅を居住の用に供して(つまり、住宅に入居して)から申請することになりますが、入居してから「1年目」と「2年目以降」で用意する書類や申請方法が異なります。

1年目は確定申告が必要

1番初めの申請は、全員が確定申告で行います。

確定申告は、入居した翌年の1月~3月15日に税務署へ申告します。
例えば2023年12月に入居した場合は、2024年1月~3月15日に申告することになります。
2024年1月の入居であれば、2025年1月~3月15日に申告します。
個人事業主の場合は、ご自身の確定申告とあわせて2月16日~3月15日に行いましょう。

確定申告における必要書類

新築住宅と中古住宅、それぞれ一般的に必要な書類をまとめました。

○=提出必要 △=人によっては必要 ×=提出不要

新築 中古 書類 取得方法
確定申告書 国税庁HPまたは最寄りの税務署
住宅借入金等特別控除額の計算明細書 国税庁HPまたは最寄りの税務署
住宅ローンの残高証明書 住宅ローンを借りた金融機関
源泉徴収票または収入が分かるもの 勤務先
マイナンバーが分かる書類のコピー ご自身で用意。通知カードやマイナンバー記載の住民票も可。
売買契約書や工事請負契約書の写し 購入物件の不動産会社
認定住宅や省エネ基準などを証明するための書類 購入物件の不動産会社または市区町村の役場
住宅の登記事項証明書(不動産番号記載で省略可) 物件の所在地を管轄する法務局
× 耐震基準適合証明書等の写し 建築士等の依頼先または購入物件の不動産会社

登記事項証明書は「住宅借入金等特別控除額の計算明細書」に不動産番号を記載することで添付を省略できます。
不動産番号は、権利証である「登記識別情報」や登記事項証明書に記載されています。

必要書類は個別の状況に応じて異なります。
詳細と最新の情報については、国税庁のHPをご確認ください。

確定申告の手順

確定申告は、お住まいの地域を管轄する税務署に対して申請します。

申請方法は、持参、郵送、または「e-tax」でのオンライン申請です。

オンライン申請であっても一部の書類を郵送または持参する必要がありますが、申告書等の税額が自動計算される・期限内であれば申告後も修正できるなどのメリットがあります。
パソコンだけでなくスマホでの申請も可能です。

画面の指示に従って入力すれば良いので、普段からパソコンやスマホを使用されている方は、e-taxでの申請がおすすめです。
税務署サイト内では、e-taxでの申請方法の動画も掲載されています。

申請までの大まかな手順はこのようになります。

  • 1.必要書類を用意する
  • 2.確定申告書と計算明細書を記入する
  • 3.申告書や添付書類を提出する

確定申告書や計算明細書の書き方や記入例については、国税庁のHPをご確認ください。

見慣れない用語も多く分からないことがあるかもしれませんが、その場合は税務署の相談窓口で教えてもらえます。
電話相談や窓口での相談などありますが、窓口については予約必須の場合があるので注意しましょう。

申請後、問題がなければ約1~2か月後に口座へ所得税の還付金が振り込まれます。
また、所得税で控除しきれなかった分は住民税から控除されます。
ただし、住民税からの最大控除額は、前年度の課税総所得の5%(最大97,500円)となります。

2年目以降、会社員は年末調整で申請する

2年目以降は、会社員の方は勤務先の年末調整で申請をします。
1年目の確定申告の際には多くの書類が必要でしたが、それに比べると2年目以降に必要な書類はかなり少ないです。
記入方法と必要書類は後ほど解説します。

所得税控除分の還付は、12月分の給与に上乗せされます。

なお、個人事業主の方や勤務先で年末調整をしない方については、確定申告での申請となります。

Point !マンションを高値で売りたい方へ

マンションの価格情報に特化したサイト「住まいサーフィン」では、マンションを高値で売却するためのサービス「沖式自宅査定」を提供しております。
沖式自宅査定は営業を目的としたサービスではないため、実際の相場に基づいたリアルな価格を回答します。

営業なし・完全無料その場ですぐに結果を確認できます。
もちろん、査定後の営業電話も一切ありません。
簡単・即答・無料での部屋単位の適正価格が分かります

無料会員登録

3. 「住宅借入金等特別控除申告書」の必要書類と書き方

次に、年末調整で「住宅借入金等特別控除申告書」を提出するにあたって必要な書類や、申告書の書き方について見ていきましょう。

住宅ローン控除申告書における必要書類

「住宅借入金等特別控除申告書」を提出するためには、以下の書類が必要となります。

書類 発行者 備考
「給与所得者の
(特定増改築等)
住宅借入金等特別控除申告書」
(控除申告書)
税務署 控除証明書と一体になっている
確定申告した年の10月頃にまとめて送付される
「年末調整のための
(特定増改築等)
住宅借入金等特別控除証明書」
(控除証明書)
税務署 控除申告書と一体になっている
確定申告した年の10月頃にまとめて送付される
「住宅取得資金に係る
借入金の年末残高等証明書」
(年末残高等証明書)
住宅ローンの金融機関 毎年10月頃に送付される

控除申告書と控除証明書は、合わせて1枚の紙になっています。

申告書等は、1年目の確定申告が終わった後(10月頃)に税務署から全年分がまとめて送付されます。
確定申告のときに「e-taxによる交付を希望する」を選択した場合は、書面ではなく、マイナポータルやe-taxからデータとして受け取ることになります。

年末残高等証明書は、金融機関によって送付時期は異なりますが、多くの場合は毎年10月頃に発送されます。
発送スケジュールについては、金融機関のウェブサイトなどをご確認ください。

例えばフラット35では、以下のような控除証明書が送付されます。

フラット35年末残高等証明書の見本

出典:「融資額残高証明書」の見本

住宅ローン控除申告書の記入例

今回は、住宅を新築または購入した場合の記入方法をご説明します。

控除申告書と控除証明書は、以下のようになっています。
今回の記事内では、この用紙を3つに分けた画像を使用しています。

画像の元になっている記載例は、税務署HP(各種申告書・記載例)から引用しました。

控除申告書全体

記入前の注意

税務署から送付された「控除申告書等」のうち、該当年度のものを使用しましょう。
令和以前に住宅ローンを借り入れした場合は、「平成」表記になっていますので、令和5年には「平成35年」を使用します。

住所氏名や給与支払者情報の記入

(画像1:控除申告書上部)

控除申告書1

まずは、氏名や住所、給与支払者(勤務先)の情報を記入します。
給与支払者の法人番号は、記入不要です。
申告書の発行年度によっては押印欄がありますが、現在は押印が不要となっています。

控除額の計算

(画像2:控除申告書下部)

控除申告書2

(画像3:控除証明書)

控除申告書3

次に、その下の「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算」を記入します。

①欄には、金融機関から送付された「残高等証明書」に記載されている住宅借入金等の年末残高を書きます。
区分がA~Cの3つに分かれているので、ご自身の該当する区分にのみ記入しましょう。
どの区分になるのかは、年末残高証明書にも記載されています。

②欄には住宅の取得対価の額、③欄には居住用部分の床面積や割合を記入します。
②と③については、申告書の下にある「控除証明書」の該当部分(ロからヘまで、画像の赤枠内)を転記しましょう。
③の割合は、住宅をすべて居住用として使用していれば、100%になります。

④欄には、①欄と②欄のうち少ない方を記入します。
通常は、①の年末残高となります。

⑤欄は、④欄の数字に③欄の割合を掛けた数字を書きます。

⑥欄から⑩欄は、増改築で住宅ローンを借り入れた場合の記入箇所なので、今回は飛ばします。

次に⑪欄の記入になりますが、⑪欄には「最高〇〇万円」という最高額の記載がされています。
⑤欄の数字がこの金額よりも少なければ、⑤欄の数字をそのまま記入します。
もし⑤欄の数字の方が大きければ、最高額を記入してください。

  • 例:⑪欄が「最高4000万円」のケース
  • ● 年末残高(⑤欄の数字)3500万円の場合→年末残高の方が少ないので、⑪欄には、3500万円を記入
  • ● 年末残高(⑤欄の数字)4300万円の場合→年末残高の方が多いので、⑪欄には、4000万円を記入

⑭欄には、⑪の数字に、記載されている割合を掛けた数字を記入します。
例えば⑪×1%であれば、⑪欄の数字に1%を掛けた数字を書くことになります。

最後に、「年間所得の見積額」の記入欄があるので、こちらも忘れずに書きましょう。

控除申告書全体

連帯債務のケースや増改築で住宅ローンを借り入れた場合の書き方などは、税務署の「記載例」をご確認ください。

参考:「令和5年分 年末調整のしかた

4. 住宅借入金等特別控除申告書を無くしたらどうすれば良い?

住宅借入金等特別控除申告書は、1年目の確定申告をした後の10月頃に、10~13年分がまとめて送付されます。
そのため、途中で無くしてしまったという方もいらっしゃるでしょう。

その場合は、税務署に一定の書類を提出することで、再発行してもらえます。

提出するのは、「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除関係書類の交付申請書」です。

申請書に必要事項を書いて、納税地を所轄する税務署に持参または郵送します。
手数料はかかりません。

なお、再発行までの期間は審査内容や申請時期などによって異なります。
年末調整前の時期は混みあっている可能性があるので、紛失に気付いたら速やかに申請をしましょう。

5.まとめ

今回の記事では、住宅ローン控除の概要や、年末調整における「住宅借入金等特別控除申告書」の書き方について解説しました。

控除申告書は一見難しそうに見えますが、ほとんどが証明書の内容を書き写すだけで、複雑な計算もありません。
不安な方は、会社へ提出する前にコピーをしておくと翌年も安心です。

住宅ローン控除は、最長13年まで受けることができます。
人によっては、住宅ローン控除の対象期間中に住み替えをするということもあるでしょう。
住み替えをしても、要件を満たしていれば、引き続き住宅ローン控除を受けることが可能です。

しかし、住宅ローン控除と併用できない住み替え特例もあります。
以下の記事で詳しく解説しているので、売却や住み替えを検討中の方は是非ご覧ください。

マンション売却にかかる税金とは?控除特例や計算シミュレーションについても解説

2022/11/07

マンション売却にかかる税金の内訳、知らないと損する特例控除についてご紹介します。

ところで住み替えを検討中の皆さんは、こんな経験はないですか?

  • ● 「将来値下がりしないか心配。10年後に価格がいくらになるのか簡単に分かったら良いな」
  • ●「万が一売ることになっても、売却額より住宅ローン残債の方が多かったらどうしよう。売却時点の予想利益が分かったら良いな」

住まいサーフィンの各物件詳細ページでは、新築マンションの将来の資産性が一目で判断できる「沖式マンション10年後予測」を無料公開しています。

「値上がりシミュレーション」機能を使えば、5年後・10年後の将来価格をベストケース・標準ケース・ワーストケースの3つのシナリオで具体的にシミュレーションできます。
物件価格や金利を入力すればその場で自由にシミュレーションできるので、購入するべきか悩んでいる方にぴったりです。
さらに、「含み益シミュレーション」機能では、値上がりしたマンションを売却した場合に、実際に得られる利益を試算した結果を確認できます。

「沖式マンション10年後予測」の活用方法は、下記の動画でさらに詳しくご説明しております。

でもなぜ、住まいサーフィンに出来て、他のサイトには出来ないの?と疑問を持つかもしれません。
そこには、住まいサーフィンにしかない3つの理由があります。

住まいサーフィン独自の特徴

  • 1.広告サイトではないため、売主への忖度が不要
  • 2.サイト開設25年と老舗であるが故に、過去から蓄積されたビッグデータを保持・分析している
  • 3.不動産業者、金融機関、REITといったプロにコンサル及び情報提供している精緻なデータを活用している

しかしなぜ、こんなに有用なデータを無料で公開するの?と怪しく感じる方もいるのではないでしょうか。確かに怪しいですよね。

その理由として、住まいサーフィンを開設した代表の沖有人が掲げる理念があります。
それは不動産売買における情報の非対称性を無くすことです。

昔から、不動産業者は売り手に不利益となる情報を隠すため、騙されて損をする消費者が後を絶ちません。
そんな消費者を減らすために、住まいサーフィンで購入に役立つ情報を無料公開し、理論武装してほしいとの思いがあります。

住まいサーフィンは、購入検討する全ての消費者に情報を活用してもらうため、有料ではなく無料で情報提供を行っています。

ただし、運営にはお金がかかります。
そのため、不動産業者や金融機関等の企業にコンサル提供を行い利益を得ることで、住まいサーフィンの無償利用を実現しています。

無料会員登録するだけで、全ての情報が確認できリスクなく始められます。
退会も簡単に出来ますので、まずは気軽に登録して、マンション購入を成功させましょう!

簡単無料登録はこちらから!