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一般的な物件に比べて価格が非常に安い再建築不可物件は、住宅購入資金が少ないけれどもマイホームを購入したい方には魅力的に見えるかもしれません。
しかし、再建築不可物件は規制が非常に多く、リフォームについても多くの規約があります。購入には注意が必要です。また、購入するのではなく無償で相続する方もいるでしょう。無償だからとデメリットを知らずに相続してしまうと後々後悔することになりかねません。
再建築不可物件のメリットと後悔する理由、うまく活用する方法を知り、慎重に検討しましょう。
この記事では、再建築不可物件について徹底的に解説します。再建築不可物件の購入を検討している方や相続する可能性のある方は、是非ご一読ください。
目次
1 再建築不可物件とは?
まず再建築不可物件とは、今ある建物を取り壊してしまうと新たな建物を建て直すことができない物件です。更地にしてしまった場合、その土地に二度と建物を建てることはできません。
再建築不可物件には、建物を再建築できない理由がさまざまあります。
- ● 敷地上空に17万ボルト以上の高圧線が通っている
- ● 既存不適格物件である
- ● 市街化調整区域内にある
- ● 接道義務に違反している
この中で、特に問題になる理由が「接道義務」です。
接道義務とは、このような規定となっています。
接道義務とは、建築基準第43条の規定により、建築物を建てる土地が幅員4m以上の道路に、建物敷地が2m以上道路に接していなければならないという決まりです。また、建物敷地が道路に2m以上接していたとしても道路幅が4m以下の場合も、再建築はできません。
このような規定が作られたのは、災害時や急病時に緊急車両が通過するスペースを確保するためです。火災が起きても消火するための消防車が通れなければ大問題であり、救急車が通れなければ人命を救うことが難しくなります。この規定は生活の安全性を確保するものとなっています。
2 再建築不可物件のメリット
そんな建て替えのできない再建築不可物件にもメリットはあります。
メリット①物件価格が安い
再建築不可物件の最大のメリットが、中古物件相場よりも非常に安価であることです。費用を大幅に節約することができるでしょう。
土地や状態、売主の意向もあるので、再建築不可物件の相場は一概には言えませんが、一般的な中古物件と比べて約3~5割程度の価格となっていることが多いです。中には、早く売却したいのに売れ残ってしまっている物件が破格の値段で売られていることもあります。
再建築不可物件は、安い中古物件をお探しの方にとっては大変魅力のあるものです。
メリット②税金が安い
再建築不可物件の場合、自由に改築・増築・建て直しができないため、国から見た不動産としての利用価値が低いです。それに伴い税金が安くなります。よって住宅を購入すると支払わなければならない「固定資産税」「都市計画税」を抑えることができるでしょう。
ただし、一度更地にしてしまうと建物を二度と建てられないため、建物を建てられない土地に対して税金を払い続けることになります。さらに、建物がないことで住宅用地の特権である「軽減措置」が無くなることから、税金が最大6倍まで跳ね上がる可能性があります。
今ある建物や土地を有効的に使えない場合は、デメリットになるので注意が必要です。
3 再建築不可物件の後悔する理由
次に、再建築不可物件の後悔する理由をご説明していきます。
破格の値段だからとデメリットを知らずに購入したり、タダ同然だからと相続するのは危険です。
後悔することにならないように下記の後悔する理由を把握し、購入を慎重に検討しましょう。
後悔する理由①建物を建て直すことができない
再建築不可物件はその名の通り、一度建物がなくなってしまうと建物を建てることができません。火災での自宅消失や自然災害で自宅が倒壊すると、住む家が無くなります。後悔どころの話ではなくなります。
後悔する理由②住宅ローンが利用できない
再建築不可物件は、残念ながら金融機関の行っている通常の住宅ローンを利用できないことがほとんどです。銀行は資産価値のある住宅を担保としてローン融資を実行してくれるため、資産価値の低い再建築不可物件にローンを融資する可能性はかなり低いです。
再建築不可物件は十分な住宅購入資金が手元にない場合は、購入が困難です。
後悔する理由③リフォームの規制が多い
再建築不可物件は新たに建物を建築することはできませんが、リフォームはすることができます。
しかし、リフォームに対しての規制が多く、自由にリフォーム・リノベーションができません。
再建築不可物件で行えるリフォームは「建築確認申請が不要」な工事のみとなっています。建築確認申請が不要な工事とは、10㎡未満の増改築と主要構造部の1/2未満の修繕工事のことを指します。
建設確認申請が不要な工事内容と、必要な工事内容は下記の通りになります。
また、原則として10㎡未満のリフォームでの建築確認申請は不要ですが、物件のある地域が「防火・準防火地域」に指定されている場合は、10㎡未満でも建築確認申請が必要になります。
よって、再建築不可物件が「防火・準防火地域」にある場合は、10㎡未満でもリフォームはできないので注意が必要です。
そして、これまで再建築不可物件は自由にリフォーム・リノベーションできないと記述して参りましたが、例外としてフルリフォームができるケースがあります。
戸建ての場合、「4号建築物」という小さな建物は建築確認申請をする必要がなく、フルリフォームが可能です。しかし、そもそも再建築不可物件は道路に面していない物件であったり、道路に接する敷地が2m未満や道路幅が4m未満で狭くなっているので、機材の搬入が困難等の問題が生じます。
よってリフォームできるかどうかはリフォーム会社の判断となります。「4号建築物」だからと言って全ての建物がフルリフォームできるとは限らないので、要注意です。
どちらにせよ再建築不可物件のリフォーム・リノベーションの可否は、素人には判断が非常に難しいです。物件購入後に後悔しないように、経験豊富な信頼できる専門業者に事前相談が必須です。
後悔する理由④リフォーム代が高額になる可能性がある
再建築不可物件はメンテナンスがされていない物件・旧耐震基準で建てられている古い物件が多く、耐震基準工事や給排水管の交換などが必要になれば、大掛かりな工事になることでしょう。よってリフォーム代が高額になることが多いです。
また、再建築不可物件ではリフォームローンを利用することができますが、リフォームローンは住宅ローンよりも金利が高くなっています。変動金利で比較すると、住宅ローン金利は約0.8%未満を推移していますが、リフォームローンの変動金利は約2%~5%ほどとなっています。
どんなに安く物件が購入できたとしても、リフォーム代が高額すぎて後悔するかもしれません。
後悔する理由⑤工事業者や緊急車両が通りにくい
再建築不可物件は、道路に接していない・接道幅が2m未満・接する道路が4m未満のケースに当てはまるため、工事業者や緊急車両が通りにくいです。よって自宅までの到着がスムーズにはいきません。緊急事態に迅速に対応してもらえないことは、いざというときに後悔するでしょう。
後悔する理由⑥再建築不可物件は売却しにくい
再建築不可物件は、資産価値が低いため売却がしにくいです。
今までご説明した、住宅ローンが組むことができない・リフォームができたとしても制限がある・生活の安全性が確保されていないなどのデメリットにより、買い手が現れることはなかなか難しいでしょう。
もし再建築不可物件が売れたとしても、売却額は相場よりも安くなってしまいます。
投資目的で購入しても、うまく活用できないと後悔する可能性が高いです。今後相続が予定されている方も、いざという時に売却しにくいです。
4 再建築不可物件をうまく活用する方法
多くの後悔する理由がある再建築不可物件ですが、うまく活用する方法があります。
活用策①セットバックをして道路幅を広げる
敷地のセットバックを行い、再建築不可物件を再建築可能にすることができます。
セットバックとは、自宅敷地を道路から後退させて接する道路幅を4m以上の基準に満たさせる方法です。ただし、道路に接している敷地が2m以上ある場合に限ります。
例えば、接道幅が2m以上で道路幅が3.5mの場合、敷地を0.5m(50cm)後退させ、それが道路と認定してもらえると建築基準法をクリアできるので、再建築が可能になります。
※道路の向かい側に住宅がある場合は、中央線から2m離れたセットバックが必要です。その際は向かいの住宅がセットバック済みかどうか役所で確認しましょう。
そして、セットバックしたことで、敷地だった道路前の土地が行政の所有物となります。行政に渡した部分の土地の非課税申告をすることで、「固定資産税」「都市計画税」が安くなる可能性があります。どれだけ敷地を後退させるかにも寄りますが、税金を負担に思っている方には嬉しい点です。
しかしメリットだけではなく、セットバックをするための費用は自己負担になるので注意が必要です。測量・登記費用・道路の整備などの費用がかかり、相場は20万円~80万円となっています。自治体によっては補助金を支給しているところもあるので、再建築不可物件を購入してセットバックを検討したい方は、物件のある地域の自治体に問い合わせてみましょう。
活用策②隣接する土地を買取・賃借りする
再建築不可物件の隣接する土地を買取または賃借りし、接道幅を2m以上の基準に満たすことで再建築が可能になります。ただし、敷地に接する道路幅が4m以上ある場合に限ります。
また、隣接する土地を購入して敷地を広げることで、エリアによっては資産価値が高まる可能性があります。再建築不可物件のある条件の悪い土地だけでは価値がなくても、隣接する土地と一緒にすれば状況が変わる可能性があります。
ここで注意していただきたい点は、個人間での土地の買取交渉はハードルが高く、トラブルになりかねないということです。隣接する土地を購入交渉する場合は、信頼できる不動産業者に仲介に入ってもらうと安心です。
活用策③43条但し書き申請をする
建築基準法には、道路幅が4m以上ある場合に限り、接道幅が2m以下であっても「43条但し書き規定」をクリアすれば、接道幅が2m以下であっても再建築が可能になると記しています。
クリアすべき規定は、下記になります。
- ● 敷地周辺に広い空き地があること
- ● 地方自治体が交通上・安全上・防火及び衛生上支障がないと認められること
- ● 建築審査会の許可を得ること
再建築不可物件の購入を検討する方は、自治体の都市計画窓口に問い合わせをし、該当物件の接道要件を確認し申請しましょう。
以上、これらの策を使うことで、再建築不可物件を建て替えできる物件に生まれ変わらせることができます。
5 再建築不可物件の隠れた資産価値
ここからは再建築不可物件の資産価値についてご説明していきます。
マイホームの資産価値は非常に重要です。人生には転勤や離婚、介護など思わぬ転機が起こることがあり、自宅を手放さなければいけない状況になることもあります。その際、売れない自宅はあなたの人生の足枷となることでしょう。資産価値の高いマイホームを購入しておけば、いざという時に売れやすく、将来の安心材料になります。
しかしデメリットが多い再建築不可物件は、資産価値が低くなっています。うまく活用できなかった場合、後悔や失敗をするリスクが高い物件です。安易におすすめできる物件ではありません。
そんな資産価値の低い再建築不可物件ですが、その価格の安さから購入したい方もいるでしょう。
再建築不可物件の購入をご検討中の方にお伝えしたい大切なポイントは「資産価値が下がりにくい」物件を選ぶことです。
再建築不可物件の中には、「隠れた価値のある」物件も存在しています。条件によっては「お得」な物件になるかもしれません。
隠れた価値のある再建築物件を見極めるポイントが下記になります。
人口動向
不動産の資産価値に欠かせないポイントとして「人口が増加しているかどうか」ということです。人口の推移が増加傾向にある地域は、人の集まる人気の地域と言えます。よって土地や建物に対しての需要があると見込まれます。
利便性の高いエリア
利便性が高いエリアは、多くの人に人気の地域です。よって不動産相場も高い傾向があります。価格の安い再建築不可物件を購入し、有効に利用できれば、お得な物件となることでしょう。
以上のポイントに当てはまる再建築不可物件を選んで、リスクを減らすことをおすすめします。
気になる再建築不可物件がある方は、「再建築できるかどうか」「有効活用方法」について信頼できる不動産業者に必ず相談し、後悔しない物件を手に入れましょう。
6 まとめ
今回は、再建築不可物件の後悔する理由とうまい活用方法をご説明しました。参考になりましたでしょうか?
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