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住まいサーフィン編集部

震災時にも影響する!?新耐震と旧耐震の大きな違い。

2024年02月16日

更新日最終更新日:

日本は地震大国なので、命を守るためにも住宅の耐震性が重要です。

2024年1月に発生した能登半島地震では、多くの建物が倒壊しました。石川県珠洲市では半数弱の住宅が全壊になるなど、被害は甚大です。
これだけ住宅被害が相次いだ理由の一つは、能登半島北部は旧耐震の木造住宅が多いからだと言われています。

住宅の耐震基準は、旧耐震と新耐震に分かれています。今回の記事では、旧耐震基準と新耐震基準の違いと、新耐震基準であれば安心なのかどうかについて解説します。

この記事の編集者

住まいサーフィン編集部

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1. 耐震基準とは何か

まずは、住宅の耐震基準についてご説明します。

耐震基準とは、一定の震度の地震に対して建物が倒壊せず耐えられる基準のことです。
その具体的な内容は「建築基準法」や「建築物の耐震改修の促進に関する法律」に定められています。これらの法律で決められているのは「最低限守るべき基準」なので、基準を満たしていない建物を建てることはできません。

旧耐震・新耐震という言葉があるように、耐震基準は見直されています。耐震基準はどう変わっていったのでしょうか。

日本の耐震基準の変遷

日本で初めて耐震について規定された法律は、1920年施行の「市街地建築物法」です。1950年に同法律は廃止され、「建築基準法」が施行されました。

建築基準法は、大きな地震後に改正されることが多いです。建築基準法や耐震に関係がある法律がいつ制定(改正)されたのかを表で整理してみました。

法律 耐震基準 出来事
1950年 建築基準法制定 旧耐震  
1968年   十勝沖地震
(最大震度5)
1971年 建築基準法改正
(RC造柱の基準強化)
 
1978年   宮城県沖地震
(最大震度5)
1981年 建築基準法施行令の改正
(耐震基準の変更
新耐震になる
新耐震  
1995年 耐震改修促進法制定
(一部建築物の耐震診断・
耐震改修努力義務化)
阪神・淡路大震災
(最大震度7)
2000年 建築基準法改正
(木造住宅の耐震基準を強化)
2000年基準
(木造住宅)
 
2005年   構造計算書偽造問題
(耐震偽造問題)
2007年 建築基準法改正
(建築確認・検査の厳格化)
 
2011年   東日本大震災
(最大震度7)
2013年 耐震改修促進法改正
(一部建築物の耐震診断義務化)
 

旧耐震基準が見直されるきっかけになったのは、1978年に起きた宮城県沖地震です。
旧耐震と新耐震の具体的な違いは後ほど解説しますが、新耐震は震度6強~7程度でも倒壊・崩壊しないように設計されています。

また、木造住宅に限っては、新耐震の中でも2000年以降のものを「2000年基準」と呼んでいます。
1995年の阪神・淡路大震災で多くの木造住宅が倒壊したことをきっかけに作られた一番新しい基準です。

  • 2000年基準のポイント
  • ● 地盤調査の義務化
  • ● 地耐力に応じて基礎設計する
  • ● 接合部を金具で固定する
  • ● 耐力壁の配置バランスを考慮する

2. 旧耐震基準と新耐震基準の違い

次に、旧耐震基準と新耐震基準の違いについて見ていきましょう。

旧耐震基準とは

旧耐震基準の建物は、中規模地震(震度5強程度)でも建物が倒壊せず、ほとんど損傷しない(損傷しても補修することで生活できる)ように設計されています。
1950年から1981年5月までの住宅は、旧耐震基準で建てられました。

しかし、1978年の宮城県沖地震では1183棟が全壊、5574棟が半壊に。被害が多かったことから、耐震基準が見直されることになりました。

新耐震基準とは

新耐震基準の建物は、大規模地震(震度6強から7程度)でも倒壊や崩壊せず、中規模地震(震度5強程度)だとほとんど損傷しないように設計されています。

旧耐震と新耐震の違い

旧耐震基準は中規模地震しか想定されていないため、大規模地震が来ると建物が倒壊する可能性が高いです。ただし、耐震改修工事をすることで耐震性を高めることはできます。

新耐震基準かどうかの確認方法

耐震基準の調べ方をご説明します。

新耐震基準は1981年6月1日に施行されました。建築確認申請が受理された日が1981年6月1日以降であれば、新耐震基準ということになります。
建物が建築されたのが1981年6月1日以降であっても、新耐震基準でない可能性があるのでご注意ください。

建築確認の受理日は、「建築確認通知書」という書類に記載されています。「確認済証」や「建築確認済証」とも呼ばれている書類です。

建築確認通知書が見つからない場合には、自治体で取得できる下記の書類でも調べることができます。

  • ● 建築計画概要書
  • ● 台帳記載事項証明書

3. 新耐震基準のメリット(旧耐震基準のデメリット)

新耐震基準には、大規模地震に耐えられること以外にもさまざまなメリットがあります。

住宅ローン控除を受けることができる

家を住宅ローンを利用して購入したときに、条件を満たしていると、住宅ローン控除を受けられます。住宅ローン控除とは、所得税や住民税が減税される制度です。

中古住宅の場合でも対象になり、最大210万円の控除を受けることができます。
※省エネ性能の高い住宅に2022年~2025年に入居した場合

ただし、いくつかある条件のうちの1つがこのようになっています。

登記簿上の建築日付が1982年以降(昭和57年以降)の住宅であること、
または耐震基準に適合した建物であること

つまり、基本的には旧耐震基準は対象外になるということです。新耐震基準なら上記条件を満たしています。

旧耐震基準(つまり1981年以前)で建てられた住宅でも、耐震補強工事をしていて基準を満たしていれば、ローン控除の対象になる可能性はあります。
また、ごく稀に補強工事をしていなくても「耐震基準適合証明書」を発行できる物件があり、その場合も対象になるようです。

旧耐震基準の中古住宅を購入予定の方は、不動産会社に確認してみましょう。

住宅ローン控除について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

不動産取得税の軽減措置が受けられる

土地・建物を売買や贈与で取得した場合には、不動産取得税という税金を払わなければなりません。

不動産取得税の計算式

土地
固定資産税評価額×「1/2」×税率3%
家屋
固定資産税評価額×税率3%

※2026年3月31日までの軽減措置を適用した計算式になります。
2027年4月以降は、土地と建物それぞれの「固定資産税評価額」×税率4%となる予定です。

しかし、下記条件を満たせば控除や減税を受けることができます。

  • 軽減措置を受けるための主な要件
  • ●床面積※1 50㎡以上240㎡以下
  • ●取得者の居住用(セカンドハウスも含む)
  • ●中古の場合、耐震基準要件を満たしているもの※2

※1専有面積だけでなく、共用部分の床面積を専有部分の床面積割合によりあん分した床面積も含む
※2昭和57年1月1日以降に新築、または建築士等が行う耐震診断によって新耐震基準に適合していることの証明がされたもの

新耐震基準なら3つめの条件を満たしています。軽減措置を受けた結果、不動産取得税は0円になったということもあるようです。

軽減措置の内容など、不動産取得税についての詳細はこちらの記事をご覧ください。

登録免許税が軽減される

家を売買した場合や住宅ローンを借りた場合には、法務局へ登記申請しなければなりません。そのときに支払うのが、登録免許税という税金です。

登録免許税にも軽減措置があります。

登記種別 課税対象 税率 軽減税率
土地の移転登記 不動産の価額 2% 1.5%
建物の移転登記 不動産の価額 2% 0.3%
ローン抵当権登記 ローン借入額 0.4% 0.1%

軽減措置を受けるためには、市町村が発行する「住宅用家屋証明書」が必要です。
この証明書を発行する条件の中には「(中古住宅の所有権移転登記の場合は、)昭和57年1月1日以降に建築された家屋であること。」というものがあります。つまり、旧耐震なら基本的には証明書は発行してもらえない(軽減措置を受けられない)ということです。

住宅ローン控除や不動産取得税と同じように、昭和56年(1981年)以前に建築された場合でも耐震基準適合証明書等を添付すれば証明書は発行されます。

所有権移転登記の方法については、こちらの記事をご覧ください。


このように、新耐震基準の住宅であれば多くの税金が軽減されます。住宅購入時には初期費用が多くかかるので、税金が軽減されるのは嬉しいですね。

4. 新耐震基準なら安全なのか?

新耐震基準の住宅なら、大きな地震が来ても大丈夫なのでしょうか。
最後に、新耐震基準の安全性についてご説明します。

新耐震・旧耐震建物の被害状況

大地震後の建物被害状況を確認してみましょう。

阪神淡路大震災

1995年に発生した阪神淡路大震災は、最大震度7(マグニチュード7.3)と計測されました。
この地震によって10万棟以上の住宅が全壊。多くの死者も出て、戦後最大規模の被害となりました。

建築年別の被害状況はこのようになっています。

阪神淡路大震災の建物被害状況
画像出典:国土交通省資料「大規模地震による建築物等に係る被害について」

昭和56年以前(1981年以前)の建物が旧耐震基準です。3割近くが大破以上となっており、中破・小破した建物も多いことが分かります。

一方新耐震基準の場合は、7割以上が軽微・無被害でした。旧耐震と比べると被害が小さいです。

ただし、新耐震基準でも全く被害がないわけではありませんでした。

平成7年阪神・淡路大震災建築震災調査委員会中間報告」によると、新耐震基準で大破以上の被害を受けた建物は39棟。
構造や階数に関わらず被害を受けていますが、 RC造(コンクリート構造)やSRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)ではピロティ形式 (下層階の剛性や耐力が上層階より小さい)の倒壊や大破が多かったようです。

熊本地震

熊本地震は2016年に発生し、最大震度は7(マグニチュード7.3)でした。
熊本地震の特徴は、当時本震だと思われたものが前震だった点です。マグニチュード6.5の地震が発生した28時間後に、マグニチュード7.3の地震(本震)が発生しました。
比較的最近の地震なので、記憶に新しい方も多いでしょう。

熊本地震では、約8600棟の建物が全壊し、約34000棟が半壊となりました。

こちらは木造住宅の被害状況を表したグラフです。左から順に旧耐震基準、新耐震基準、2000年基準になります。

熊本地震の建物被害状況グラフ
画像出典:国土交通省資料「『熊本地震における建築物被害の原因 分析を行う委員会』報告書のポイント」

旧耐震基準の木造住宅は、半数近くが大破または倒壊・崩壊しています。無被害だった建物はわずか0.5割(39棟)です。

新耐震基準の木造住宅で大破以上となったのは2割弱でした。大半の住宅は軽微・小破・中破となっています。新耐震基準でも、全く被害がなかった木造住宅は2割でした。

一方、一番新しい2000年基準だと、約6割の住宅が無被害となっています。大破や倒壊している住宅はあるものの、旧耐震や新耐震に比べると被害はかなり少ないです。

新耐震基準だから絶対安全というわけではない

阪神淡路大震災と熊本地震の被害状況を見て分かるように、旧耐震基準よりも新耐震基準の方が圧倒的に耐震性能は優れています。
旧耐震基準は震度7の地震だと倒壊してしまうケースも多く、建物が無事であっても大破すればそのまま住むことはできないでしょう。

2024年の能登地震では多くの建物が崩壊しましたが、被害が大きかった地域は住宅の耐震化率(新耐震基準を満たしている割合)が全国平均よりも低かったです。

  耐震化率(年)
全国平均 89%
(2018年)
石川県珠洲市 51%
(2018年)
石川県輪島市 45.2%
(2019年)
石川県能登町 53%
(2018年)

参考:国土交通省資料「建築物の耐震化の進捗状況」珠洲市耐震改修促進計画輪島市耐震改修促進計画能登町国土強靭化地域計画

旧耐震基準の住宅に住んでいる場合や今後購入する場合には、耐震補強工事も検討しましょう。過去に耐震補強されている場合でも、年数が経っているようなら耐震診断をして耐震性を確認することをおすすめします。

新耐震基準の住宅の場合は、旧耐震基準よりは耐震性が優れています。
しかし、新耐震基準や2000年基準でも倒壊や大破するケースはあるので、絶対に安全とは言えません。
同じ新耐震住宅でも、建物や地盤の状態、地震の揺れ方などによって被害の大きさは変わってきます。

また、地震が繰り返されることで家屋にダメージが蓄積し、建物の強度が下がってしまうこともあるようです。
新耐震基準でも古いものだと築40年以上なので、相当年数が経っています。新耐震基準だからといって安心せずに、適切にメンテナンスするようにしましょう。

耐震等級にも注目をする

住宅の耐震性能の判断基準は、旧耐震と新耐震だけではありません。耐震等級というものもあります。

耐震等級は、住宅性能表示に関する法律「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」に定められています。この法律は、2000年に施行されました。

耐震等級は3ランクに分かれています。

耐震等級

国土交通省が行った調査によると、熊本地震では等級3の建物の87.5%が無被害でした。他の等級3の建物も軽微または小破で済んでいるので、相当強固であることが分かります。

熊本地震の耐震等級別被害状況
画像出典:国土交通省資料「『熊本地震における建築物被害の原因 分析を行う委員会』報告書のポイント」

新耐震の中でもより地震に強い家に住みたいという方は、耐震等級にも注目してみてください。

5.まとめ

今回の記事では、旧耐震基準と新耐震基準の違いについて解説しました。

耐震性能が不安だけど費用を用意するのが難しい、という方も多いのでないでしょうか。
実は、都道府県や市町村などの自治体では、耐震改修などの費用の一部を負担してくれる制度が設けられていることが多くあります。

支援の対象は旧耐震住宅だけではありません。最近は2000年までに建てられた新耐震基準の住宅に対する支援も増えてきています。
東京都23区でも、新たに12区が2024年度から助成制度を開始するようです。
参考:あなたの街は? 東京23区 首都直下地震へ備え 2000年までの「新耐震」木造住宅 耐震診断など費用助成広がる(NHK首都圏ナビ)

日本建築防災協会による「耐震支援ポータルサイト」には耐震診断や改修などの情報が掲載されているので、こういったサイトを参考にしながら対策を進めてみてください。

また、新耐震基準かつ耐震等級が高い住宅に住み替えるというのも、選択肢の一つです。

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