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住まいサーフィン編集部

低金利住宅ローンを徹底解説。安いというだけで選ぶのは注意!

2022年10月31日

更新日最終更新日:

数千万円という大金を借り入れる住宅ローン。
誰もが「できるだけ返済額は減らしたい」と思っているのではないでしょうか。

住宅ローンの返済額を減らすには、借り入れ額かその金利どちらかを削減することになります。
とはいえ、住宅の品質はできる限り妥協したくない。となると借り入れ額を安くするよりも、金利分をできる限り抑えたいところです。
しかし、金利が安いかどうかだけを見て借り入れると、結果的に損してしまうことがあります。

今回は、金利が安いこと以外に重視すべき条件や、住宅ローン選びで注意する点などを解説します。

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住まいサーフィン編集部

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1.金利が安いと返済額は減らせる

低金利の金融機関を選べば、返済額を安くすることができます。
では、金利の差によってどのくらい返済額に違いが出るのでしょうか。
以下の条件でシミュレーションしてみましょう。

【条件:借入額3,000万円、借入期間35年】

金利 月々の返済額 35年間合計の利息額
0.60% 79,208円 約326万円
0.65% 79,880円 約354万円
0.70% 80,556円 約383万円
0.75% 81,235円 約411万円
0.80% 81,918円 約440万円
0.85% 82,604円 約469万円

金利が0.05%上がると、毎月の返済額は600~700円程度増加します。
35年間支払えば、30万円弱の金額差です。
30万円あれば家具や家電を買うこともできますし、家族旅行にも行けます。

つまり住宅ローン金利が低ければ低いほど、返済額が安くなるのです。
とはいえ、ただ金利が安いだけで選ぶのは得策ではありません。
その理由を確認していきましょう。

2.金利の低さだけで金融機関を選ぶことをおすすめしない理由

なぜ金利の低さだけにこだわって金融機関を選んではいけないのでしょうか。
3つの理由を紹介します。

働けなくて返済できないときのリスクも考えるべきだから

住宅ローンを借りるときは、ケガや病気で返済できなくなったときのリスクを考えることが大切です。
どんなに金利が低い金融機関でローンを組んでも、働けなくなったら返済は厳しくなります。
債務者が返済できないと、家族が返済しなければならず大きな負担がかかってしまいます。

住宅ローンは保障内容も比較して選ぶことが重要です。
金融機関によって保障内容は大きく異なります。
例えば、ガンと診断されただけでローンの残高がゼロになる商品もあります。
他にも7大疾病など、多くの病気に対して保障を付けている金融機関は少なくありません。

医療保険などと同じで活用しない人の方が多いとは思いますが、万が一の備えとして住宅ローンの保障内容にもしっかり目を向けましょう。

金利が低いのは初めだけの可能性があるから

住宅ローンの金利は全期間固定のタイプもありますが、多くの場合は金利が変動します。
ローン契約時だけ驚くほど低金利でも、同じ金利は続かない可能性もあると理解しておきましょう。

よくある例は期間選択型の固定金利で、当初の引き下げ幅が大きい商品です。
期間選択型の固定金利は、最初に選択した期間内は金利が一定で、期間終了後に再度固定・変動が選べます。

当初期間の金利は引き下げ幅が大きい点が特徴です。
しかし、最初に選択した期間が終了すると、金利の引き下げ幅は大きく下がってしまいます。

具体的な金利の例を見てみましょう。
基準金利3%の金融機関と仮定します。

  金利(引き下げ幅)
当初20年固定金利 1%(‐2%)
21年目からの
15年固定金利
2.2%(‐0.8%)

最初は基準金利からマイナス2%の引き下げなので、20年固定を選んでも1%という低金利です。
金利が低くて20年間も返済額が変わらなければ、安心と感じる方もいるはずです。

しかし、20年後の引き下げ幅はマイナス0.8%まで下がってしまいます。
つまり、21年目に残りの期間も固定金利にしようと考えると、金利が2.2%になるのです。

仮に3,000万円を35年間で借り入れしたときに、返済額にどのくらいの差が出るのか確認してみます。

年数 金利 月々の返済額
1~20年目 20年固定(金利1%) 84,685円
21~35年目 15年固定(金利2.2%) 92,364円

同じ固定金利の商品を選んでいるのに、約7,600円も返済額が上昇しました。
最初の金利の安さばかりに注目していると、最終的には損する可能性もあることを覚えておきましょう。
もちろん金融機関によって引き下げ幅は異なりますし、当初と期間終了後に選ぶ金利によって金額差は異なります。

ちなみに、当初の引き下げ幅は少なくなりますが、ずっと一定の引き下げ幅を確約したプランもあります。
変動金利は全期間引き下げプランが適用されるケースがほとんどです。
借入期間全体の金利の変化をチェックしながら商品を選びましょう。

諸費用が高くて最初の出費が大きくなるかもしれないから

住宅ローンを組むためには、保証料や事務手数料などの諸費用がかかります。
諸費用は金融機関によって大きな差がつく点が特徴です。
低金利の住宅ローンを選んで月々の返済を抑えることも大切ですが、諸費用を抑えてマイホームにかかる初期費用を抑えることも重要なポイントです。
住宅ローンの諸費用を抑えることができれば、借入金額を減らせたり建物や土地にお金をかけたりできます。
金利が安く、なおかつ諸費用も抑えられるような金融機関を探しましょう。

3.住宅ローンの比較時には、低金利以外の条件も見ることが重要

金利以外にも比較やチェックすべき住宅ローンの条件を確認しましょう。

実質金利で比較する

住宅ローンの実質金利とは、融資手数料・保証料・団体信用生命保険料などの諸費用を含めた金利のことです。
また、期間選択の固定金利の場合は、期間終了後の適用金利も加味します。
金融機関のホームページに大きく載っている表面金利を比較しただけでは、金融機関のトータル的な良し悪しは分かりません。
諸費用などを含めた実質金利で比較することで、本当に安い住宅ローンを見極めることができます。

実質金利の計算方法は複雑です。
なぜなら、すべての費用を確認した上で、エクセルのPMT関数とIRR関数を使って計算しなければならないからです。
普段から関数を使い慣れていない方は難しく感じるでしょう。

代わりの比較方法として、住宅ローンの総支払額を計算することをおすすめします。
住宅ローンの総支払額とは、トータルの返済額と諸費用の合計額のことです。
返済シミュレーションサイトなら、好きな年数で金利を変更できる機能がついたものもあります。
選択型固定金利を選んだとしても、期間終了後の返済額も簡単に算出することが可能です。
上手くサイトを利用しながら、総支払額で住宅ローンを比較しましょう。

借入額のシミュレーションについては、以下の記事でもご紹介しています。

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