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住まいサーフィン編集部

定期借地権付きマンションは購入しても平気?後悔しないためのポイントとは

2023年12月27日

更新日最終更新日:

「定期借地権」のマンションは、将来的には建物を壊して土地を返すことになります。
せっかく大金を払ってマイホームを買うのに、財産が何も残らないのは怖い。そう思う方もいるでしょう。

しかし、住まいサーフィン代表の沖は、借地権のマンションで1億円の値上がり益を得ています。人によっては、むしろ定期借地権付きマンションは狙い目物件なのです。

今回の記事では、定期借地権のメリット・デメリットと向いている人について解説します。

この記事の編集者

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1. 借地権付きマンションとは何か

まずは、借地権についてご説明します。借地権とは、建物を建てるために土地を借りる権利のことです。

通常、分譲マンションを購入すると土地と建物両方の所有権を持つことになります。他の人に譲らなければ、土地も建物も一生自分の物です。

借地権付きマンションとは何か

一方借地権付きマンションは、建物だけを所有していて土地は地代を支払いながら借りることになります。
定期借地権の場合は土地を借りる年数が決まっていて、その期限になったら土地を返さなければなりません。建物を別の場所に移動させる、なんてことは物理的に不可能なので、建物も壊して更地にする必要があります。

定期借地権と普通借地権の違い

借地権付きマンションの中には、定期借地権だけでなく普通借地権もあります。言葉は似ていますが、実はその中身は大きく違います。
普通借地権の場合は、更新して期間を延長することが可能です。賃貸マンションの更新と同じようにイメージすると分かりやすいでしょう。

定期借地権と普通借地権の主な違い

  定期借地権 普通借地権
契約期間 50年以上 30年以上
更新 できない できる
建物買取請求権 ない ある

※厳密には、特約を付けることで、更新不可・建物買取請求権なしにすることができます

建物買取請求権とは、契約期間が満了したときに建物を買い取るよう土地の所有者に対して請求する権利のことです。土地の所有者は時価で建物を買い取ることになります。
普通借地権では建物買取請求権が認められていますが、定期借地権は特約を付ければこの権利を排除できます。定期借地権付きマンションではこの権利が排除されていることがほとんどです。

定期借地権は、契約期間(存続期間)が終われば契約は終了します。
しかし普通借地権は、契約を終了させるために「正当事由」が必要です。たいした理由はないけどもう土地を貸すのはやめます、ということはできません。
正当事由が認められるかどうかは土地を貸す人・借りる人双方の事情が総合的に判断されます。土地の貸主が立退料を支払うケースもあるなど、普通借地権は基本的には貸す側の方が不利(つまり借りる側には有利)と言えるでしょう。

定期借地権と普通借地権の違いをご説明しました。
他にも借地権には「建物譲渡特約付借地権」や「事業用借地権」があります。これらと区別して、定期借地権付きマンションは「一般定期借地権付きマンション」とも言います。

定期借地権付きマンションの特徴

次に、定期借地権付きマンションの主な特徴をご説明します。

  • ● 存続期間は60~70年が多い
  • ● 一般的にはマンションを壊して更地にしてから返還する
  • ● 毎月地代・解体準備金を支払う
  • ● マンションを賃貸に出したり相続したり売ったりできる

存続期間は、60~70年前後で設定されていることが多いです。最近の定期借地権付きの新築分譲マンションを例としてご紹介します。

※最初の引き渡し(入居)予定~土地を返還するまでの年数を計算

通常、定期借地権付きマンションは、土地を返還する年までにマンションを壊して更地にしなければなりません。解体には時間がかかるので、存続期限よりも早く建物から出て新しい住処を見つける必要があります。

また、定期借地権マンションは土地を「借りる」ことになるので、地代を支払うことになります。分譲マンションは管理費+修繕積立金を毎月支払いますが、借地権付きだとさらに地代が加わるということです。
また、一般的にはマンションを壊すための解体費用も毎月積み立てをします。

ここまでが、定期借地権付きマンションならではの特徴です。これ以外は、基本的には普通の分譲マンションと大きな違いはありません。
賃貸に出すこともできますし、マンション所有者の方が亡くなれば相続もできます。もちろん贈与することや、売却することだって可能です。
ただし、土地の貸主に事前通知をして承諾を得る必要はあるのでご注意ください。

2. 定期借地権付きマンションのメリット

次に、定期借地権付きマンションにはどんなメリットがあるか見ていきましょう。

恵まれた立地であることが多い

定期借地権付きマンションは、好立地であることが多いです。駅からかなり近かったり、めったに売りに出されない希少な立地だったりします。その土地の価値が高いがゆえに貸主は土地を手放したくない、と考えられます。

マンションの資産価値は、立地で決まると言っても過言ではありません。つまり、好立地の定期借地権付きマンションは資産価値が高いと言えるでしょう。

「将来的に更地になって無くなるんだから、定期借地権付きマンションは資産性がないのでは?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。もちろん最終的には無くなってしまいますが、60~70年という長い期間存続するマンションも多いです。
築10年以上の定期借地権付きマンションで、新築時より大きく値上がりした事例も多くあります。

マンション名 値上がり率 竣工年
パークタワー西新宿エムズポート 82.5% 2014年1月
プラウド南麻布 89.0% 2013年8月
パークコート神楽坂 53.9% 2010年8月
南青山パークハウス 26.7% 2010年1月
広尾ガーデンフォレスト(桜、楓、白樺レジデンス) 22.4% 2009年6月
シティタワー品川 175.3% 2008年4月
ウエストレジデンス大崎 37.1% 2008年2月

※2023年12月27日時点の情報(値上がり率)となります。
中古時価は市況により変動します。最新の数値を確認したい方は物件名をクリックし、物件詳細ページにてご確認ください。

定期借地権だからという理由だけでそのマンションを検討外にするのはもったいないです。
住まいサーフィンでは中古マンションの値上がり率を調べることができるので、是非ご自身の気になるマンションも調べてみてください。

普通の分譲マンションよりも価格が安い傾向がある

定期借地権付きマンションの2つ目のメリット、それは価格です。一般的に、借地権付きのマンションは相場より1.5割~2割ほど安く設定されています。
販売時の価格が安いからこそ、数年後に売却するときに大きな利益が出る可能性が高くなります。

例えば品川駅から徒歩10分の「シティタワー品川」は、定期借地権であるがために破格の価格で売り出されました。住まいサーフィンにも17件の口コミが投稿されているので、その一部をご紹介します。

コストパフォーマンスに関する評価:定期借地権とはいえ、建物は90㎡で3000万~、80㎡で2000万台と破格。これ以上のコストパフォーマンス物件はなかなかないものと思われる。坪価格は140万くらいのはず。
平均20-30倍で抽選販売。このような計画がもっと増えれば、これからのマンション動向も明るいものになるのでは。

品川駅から徒歩10分のマンションを2000万円台で購入できるのは驚きですよね。シティタワー品川の現在の中古売り出し価格は8600万円台~です。このシティタワー品川は定期借地権マンションの中でも伝説のような存在で、新築当時も倍率はかなり高かったようです。
このように、定期借地権マンションの中にはかなりお得な価格で売られることがあります。

ただし、すべての定期借地権付きマンションが安くなっているわけではないので注意が必要です。
特に最近は、定期借地権なのに周辺相場とあまり変わらないマンションも増えてきています。希少性がかなり高い立地のマンションは、定期借地権であっても売れる見込みが高いからだと考えられます。

土地の固定資産税・都市計画税を支払わなくて済む

マンションを購入すると、土地と建物の固定資産税・都市計画税(以下固定資産税等とする)を毎年支払うことになります。評価額や家の大きさなどによって金額は変わりますが、年間10万円以上かかるという方も多いです。

しかし定期借地権付きマンションは土地を借りている状態なので、固定資産税等を支払うのは土地の貸主です。定期借地権付きマンションの購入者は、土地の分の税負担はありません。

ただし、土地の固定資産税等の支払いが無くても、地代を貸主に支払う必要はあります。土地の固定資産税より地代の方が高いということも十分あり得るでしょう。

3. 定期借地権付きマンションのデメリット

次に、定期借地権付きマンションのデメリットを見ていきましょう。

地代や解体準備金を支払う必要がある

定期借地権付きマンションは、土地の貸主に地代を支払わなければなりません。また、将来解体するための費用は土地の借主が負担するケースが多く、解体準備金を積み立てる必要もあります。
金額は物件によって異なりますが、地代と解体準備金併せて月額10,000円~20,000円前後になることが多いようです。

定期借地権付きマンションを検討する場合には、マンションの価格(住宅ローン返済額)だけでなく維持費も含めたトータルの金額を確認することが重要です。

住宅ローンが組みにくいことがある

マンションを購入するときには住宅ローンを借りるという方がほとんどでしょう。定期借地権付きマンションは、金融機関によってはローン審査に通りにくいことがあります。

金融機関は、ローンを借りる本人のことだけでなく、担保となる不動産についても審査をします。
特に中古の定期借地権付きマンションで残存期間が短い場合は注意が必要です。希望額の融資がされなかったり、希望返済期間より短くなったりすることがあります。

残存期間が短いと売却できない可能性がある

定期借地権付きマンションは残存期間が短いと売却は難しくなることが考えられます。

例えば同じ築50年のマンションで一方が普通の分譲マンション、もう片方が残存期間10年の定期借地権付きマンションとします。8年ぐらい住めれば良いと考える人なら、価格次第では後者を選ぶかもしれません。ですがほとんどの人は前者を選ぶでしょう。前者は古いマンションですが、もしかしたら建て替えするかもしれません。例え取り壊しになっても、土地という財産は残ります。

定期借地権付きマンションは、最後には何も残らないです。どんなに良い立地でも、残存期間がわずかになったら資産価値はほぼなくなってしまいます。

4.定期借地権付きマンションが向いてる人

最後に、定期借地権付きマンションはどんな人に向いているのかご説明します。

好立地のマンションが欲しい人

利便性が高い立地の新築マンションは年々減っています。良い立地には既にマンションが建っていることや、条件の良い用地があっても収益性が高い賃貸マンションやホテルに使われていることが要因です。
マンション価格の高騰も続いており、好立地の新築マンションを買うハードルはどんどん高くなっていると言えるでしょう。

しかし定期借地権付きマンションであれば、好立地であり、かつ通常のマンションより価格が抑えられていることが多いです。
いずれ土地を返還するとしても、それは60~70年先のこと。「60年間もこんなに便利な立地のマンションに住める」と考えられる人なら、定期借地権付きマンションはおすすめです。

住み替えをするつもりの人

定期借地権付きマンションでも、残存期間が十分に残っていれば問題なく売却できます。むしろ好立地であることから、購入時より値上がりする例も多いです。いずれ住み替えをするつもりの人にとっては、定期借地権付きマンションは狙い目だと言えます。

マイホームを買う=一生そこに住む、というわけではありません。ライフステージによって必要な広さや居住環境は変わってきます。

ライフステージごとの住まいの条件例

ライフステージ 広さ 住まいの条件
独身・一人暮らし 1LDK 交通・生活利便性が高いところ
結婚後 2LDK 夫婦それぞれが出勤しやすいところ
子育て中 3LDK 自然豊かなところ、学校の近く
子供が独立・定年~ 2LDK 交通・生活利便性が高いところ

住み替えを考えている人は、特に「存続期間」を重視するようにしてください。
存続期間50年のマンションを購入してから15年後に売ろうとすると、残り35年です。なんだか少ない気がしますよね。相場よりかなり安くしないと売れないかもしれません。しかし存続期間70年で同じ条件だと、残り55年もあります。

同じ定期借地権付きのマンションでも、存続期間や維持費(地代・解体準備金)は違います。それぞれの条件を確認した上で、売り出されている価格が適切なのかどうか見極めるようにしましょう。

そして、下記に当てはまる人は定期借地権付きマンションの購入はあまり向かないと考えられます。

  • ● 老後まで安心して住み続けたい
  • ● 子供のために資産を残していきたい

5.まとめ

今回の記事では、定期借地権付きマンションのメリットやデメリットについて解説しました。

関西で活動する不動産コンサルタント 田中和彦氏のコラムでも、定期借地権付きマンションのメリットが紹介されています。それは、「建替え問題で揉めることがない」ことです。建物の寿命が決められているからこそのメリットで、将来設計も立てやすくなります。
[第201号]定期借地権付マンションのメリットは?

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  • ● 「将来値下がりしないか心配。10年後に価格がいくらになるのか簡単に分かったら良いな」
  • ● 「万が一売ることになっても、売却額より住宅ローン残債の方が多かったらどうしよう。売却時点の予想利益が分かったら良いな」

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