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住まいサーフィン編集部

既存不適格建築物とは何か?違反建築物との違いも解説!

2024年04月10日

更新日最終更新日:

中古住宅を探していると、物件情報に「既存不適格建築物」と書かれていることがあります。また、ご自宅をリフォーム・建て替えしようとしたら「既存不適格建築物」と言われて驚いた方もいらっしゃるかもしれません。
あまり聞きなじみのない言葉ですが、違反建築物や違法建築物とは違うものなのでしょうか。

今回の記事では、既存不適格建築物について詳しく解説していきます。

この記事の編集者

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1. 既存不適格建築物とは?

まずは、既存不適格建築物とは何なのかご説明します。

既存不適格建築物は、建築時には合法だったものの、その後の法律改正などによって法律の基準を満たさなくなった建築物のことです。

分かりやすい例としては、旧耐震基準の建物が挙げられます。
建物の耐震基準は見直されていて、1981年6月からは大規模地震を想定した「新耐震基準」が最低限守るべき基準となりました。1981年5月以前に建築確認申請が受理された建物は「旧耐震基準」で確認されているので、今の基準である「新耐震基準」を満たしていないことがあります。

旧耐震と新耐震の違い

旧耐震基準と新耐震基準の違いについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

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既存不適格建築物と違反建築物(違法建築物)の違い

既存不適格建築物と似た言葉に、「違反建築物(違法建築物)」というものがあります。一見同じようにも思えますが、実は意味が大きく違います。

違反建築物とは、建築当時から法律に適合していない建築物のことです。法律に適合していない増改築をした建築物も、違反建築物に含まれます。

既存不適格建築物と違反建築物の違い

既存不適格建築物も違反建築物も、現時点で法律の基準に不適合となっているところは同じです。しかし、建築時(または増改築時)に法律に適合しているか・していないかが異なっています。

法律というのは、時代・社会の変化とともに見直されるものです。ですので、建物を建築した後に法律が改正されて既存不適格建築物になる可能性は、どの建物にもあると言えるでしょう。

しかし、違反建築物はそもそも最初から法令に違反している建物です。
違反建築物の場合は、住宅ローンの融資は基本的には断られます。既存不適格建築物についても融資を断る金融機関があるのは事実ですが、融資してくれる金融機関もあります。

2. 既存不適格建築物の例

先ほど既存不適格建築物の例として、旧耐震基準の建物を挙げました。その他にはどんなものがあるのでしょうか。
既存不適格建築物の例をもう少しご紹介します。

用途地域の指定や変更によって、容積率・建ぺい率などが不適合になった物件

よくある「既存不適格建築物になった原因」は、用途地域の指定や変更です。
用途地域とは、土地の利用目的に応じて建物の用途や大きさが制限されている地域のことです。用途地域は住居・商業・工業が大枠になっていて、細かく見ると13種類に分かれています。

例えば、用途地域には「第一種低層住居専用地域」というものがあります。第一種低層住居専用地域は低層住宅のための地域で、建物の高さは10mまたは12mに制限されています。
この地域には、高い建物や大型の店舗、ホテルなどを建てることはできません。

ここで、既存不適格建築物の話に戻りましょう。
例えば、用途地域が指定されていない土地に3階建て(高さ13m)の戸建てを建築したとします。その土地が新たに「第一種低層住居専用地域」へ指定されることになれば、その戸建ては高さ基準が不適合ということで、「既存不適格建築物」になります。

日本のすべての土地に用途地域が定められているわけではありません。用途地域が新たに指定されたり、再開発などによって用途地域が変更されたりします。

なお、今回は分かりやすく「高さ」による既存不適格の例をご紹介しましたが、実際は建物の容積率や建ぺい率が不適合になるケースも多いです。

容積率
敷地面積に対する延べ面積の割合

建ぺい率
敷地面積に対する建築面積の割合

※延べ面積とは、すべての床面積の合計のこと

用途地域では、容積率や建ぺい率も制限されています。
用途地域についてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

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接道義務を満たしていない物件

建築物の敷地は、原則として幅員4メートル以上の道路に、間口2メートル以上接していなければなりません。
これが、建築基準法で決まっている接道義務です。

これが現在の基準で、建築基準法が制定されたのは1950年です。
今から70年以上前から存在する基準ということになりますが、日本には築70年以上の建物も存在しています。そのような古い建物の場合、この接道義務を満たしていないことがあります。

接道義務を満たしていない物件は、再建築ができません。つまり、一度建物を取り壊してしまうと新たな建物に立て直すことはできないということです。このような建物のことを、再建築不可物件と言います。
再建築不可物件については、こちらの記事で詳しく解説しています。

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3. 既存不適格建築物に住み続けて良いのか?

次に、既存不適格建築物はそのままの状態で住み続けても良いのかどうか、ご説明します。

結論としては、既存不適格建築物になっても、基本的にはそのまま住み続けることができます。住み続けていることで罰則を科されることもありません。

基本的には住み続けることができる」としているのは、例外があるからです。
建築基準法には、「著しく保安上危険」または「著しく衛生上有害となるおそれがある」と認める場合に建物の所有者は建物の改築や解体(除却)などを命じられることがある、と規定されています。

著しく保安上危険というのは、例えば劣化や自然災害などで倒壊する可能性が高い建物のことを言います。
また、著しく衛生上有害となるおそれがあるというのは、例えば排水設備が破損して敷地周辺に害臭や汚水などが流出しているケースが挙げられます。

つまり、建物が通常の状態(生活に危険等を及ぼさない状態)であれば、何も心配することはありません。

参考:国土交通省「既存不適格建築物に係る是正命令制度に関するガイドライン

既存不適格建築物の増改築リフォーム・建て替えには注意が必要

ただし、増改築(建築確認が必要な大規模リフォーム等)や建て替えをするときには、今の基準に適合させなければなりません。
建て替えの場合には、基準に適合させることによって建物が小さくなってしまうこともあります。

現在の基準を無視したまま増改築や建て替えすると違法建築物になってしまうので注意しましょう。

4. 既存不適格建築物は売買できるのか?

既存不適格建築物になった家を売りたいけど、スムーズに売れるかな?
欲しいと思った家が既存不適格建築物なんだけど、買って良いのかな?

このようなお悩みを持っている方もいらっしゃるでしょう。
最後に、既存不適格建築物を売買するときの注意点について解説します。

売却は普通の家よりも難しく、価格が相場より著しく低くなることも

普通の家と既存不適格建築物になった家を比べると、既存不適格建築物になった家の方が売却難易度は高いです。
建て替えや増改築するには今の基準に適合させる必要があり、ある程度の制限を受けることになります。そのため、立地などに大きな魅力がなければ既存不適格建築物を避ける買主も多いでしょう。

また、売却できたとしても相場よりもかなり安い価格になってしまうかもしれません。

既存不適格建築物は、築年数が古い家も多いです。既存不適格建築物として売るよりも、更地にした方がスムーズに売却できるケースもあります。

住宅ローンの審査に通らないかもしれない

既存不適格建築物の場合、金融機関によっては住宅ローンの審査に通らないことがあります。違反建築物よりは融資を受けやすいですが、それでも普通の家の購入時よりも金融機関は制限されてしまうでしょう。
住宅ローンを借りて既存不適格建築物を買おうと思っている人は、なるべく多くの金融機関に住宅ローンの事前審査を申請するようにしてください。メガバンクやネット銀行だけでなく、地方銀行や信用金庫にも相談してみましょう。

既存不適格建築物であることは買主に必ず伝える

既存不適格建築物は売却しにくいので、それを隠して売却活動をしたいと考える売主もいらっしゃるかもしれません。しかし、売主には既存不適格建築物ということを買主(購入希望者)に告知する義務があります。
事実を隠して売却すると、損害賠償請求されたり売買自体が無効になったりすることも。
後から不利益を被ることになるので、既存不適格建築物であることは隠すのは絶対にやめましょう。

5.まとめ

今回の記事では、既存不適格建築物と違反建築物の違いや売買するときの注意点について解説しました。

既存不適格建築物の売却は難しいというのが一般論ですが、不適格な部分を解消したり更地にしたりすることで、希望に近い価格で売却できる可能性もあります。
まずは不動産会社に相談をしてみてください。不動産会社は、既存不適格建築物の売買実績が豊富であることが望ましいです。

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