東京都渋谷区の特徴を知る
東京都「渋谷区」の特徴 ― ニッポンの自治体 ―
2020年以降、渋谷駅周辺は大変貌するも、都心にあって広大な緑地が自慢
東京・渋谷区は、東京都23区の西南に位置する。東京都心5区と表現する場合には、千代田・中央・港区の都心3区に、渋谷区と新宿区を加える。1932年(昭和7年)10月、渋谷町、千駄ヶ谷町、代々幡町(よよはたまち)が合併し、東京市渋谷区が施行、東京35区のひとつとして誕生した。1943年(昭和18年)、東京都施行に伴い、「東京都渋谷区」となる。
東京・渋谷区のマンション
2018年、渋谷区で販売された新築マンションは840戸。販売価格は6145万円~1億6716万円だった。中古物件の人気も非常に高く、相場は4270万円~1億6450万円。
働き盛り世代が人口の半数を占める活力溢れる自治体
2019年11月現在、渋谷区の人口は、同区発表によると22万9932人。そのうち1万1414人が外国人居住者だ。総世帯数は13万9855世帯。
昔から“渋谷は若者の街”といわれてきたが、「いまさら」という声も多い。しかし、渋谷区の人口構成を10歳ごとに区切った年齢別人口をみると、もっとも人口が多い世代は30歳代の4万4085人、次いで40歳代の4万1443人。このふたつの世代だけで人口の4割弱を占める。子育て真只中の中間管理職世代といえる。このふたつの世代に20歳代の2万8797人を加えると11万4025人となり人口の51.0%だ。渋谷区民は、バリバリの勤労者世代が半数を占める活気溢れる特別区なのだ。
渋谷区の総面積は15.11平方キロメートル。区内には代々木公園や明治神宮など大規模緑地があり、新宿御苑の一部を加えると区全体の10%が緑地帯という緑豊かな自治体となっている。
渋谷駅はJR山手線・埼京線、東急東横線・田園都市線、京王井の頭線、東京メトロ銀座線・半蔵門線・副都心線が乗り入れる巨大な複合ターミナル駅だ。東横線・副都心線は地下駅となり、「渋谷ヒカリエ」など渋谷駅周辺は大規模な再開発が進められている。
新宿駅に近い代々木や千駄ヶ谷は新宿のオフィス街・繁華街と一体となったビジネス街だ。
また、北青山(港区)に隣接する原宿・表参道エリアは日本のファッションの中心地であり世界のハイブランドショップが建ち並ぶ。代官山周辺や恵比寿などには商業施設やファッション関連の産業が集積している。
さらにその周辺には松濤や代々木上原といった都内有数の高級住宅地もある。同様に高級住宅地として知られる広尾は旧麻布区に起源を持ち、現在でも港区麻布と近い地域特性を持っている。
一方、区内北部の甲州街道(国道20号)や京王線以北の初台・幡ヶ谷・本町地区は中野区や新宿区に続く密集した住宅商業地区で、同区内の他の街とは趣が異なる下町情緒が漂う住宅街といえる。
渋谷区庁舎建て替えを終えて、その後も大きく変貌する渋谷
現在、渋谷区役所本庁舎と渋谷公会堂は建て替え工事のため解体・新築作業が進められ、地上15階地下2階の新庁舎に生まれ変わった。新区役所棟は2019年1月に開庁した。さまざまな最新機能を備えた新庁舎と、隣接して整備された新しい渋谷公会堂を含めた総工費211億円に、区の予算は使われていない。公会堂は同年10月に完成した。公会堂は2029年までネーミングライツ権を1億2000万円/年で取得した企業名が冠され「LINE CUBE SHIBUYA」と呼称される。
なお、渋谷区は旧庁舎の敷地を再編して生まれたおよそ4500平方メートルの土地を民間に貸し出し、その収入を新庁舎などの建設費に充てた。2020年9月に、その土地に39階建ての住宅棟、三井不動産レジデンシャルによる定期借地権方式の戸数505戸の高層分譲タワーマンションができる。
区役所が生まれ変わるのと同時に渋谷駅周辺の景観も大きく変わろうとしている。現在、JR「渋谷」駅の東口に立つと、以前はそこにはあったはずの東急百貨店東横店が取り壊され、そこには新しい商業施設とオフィスからなるタワービルが建つ。世界的にみても都市建築物のスクラップ&ビルドが早いとされる東京だが、2020年の東京オリンピック開催が決定し、そのスピードがさらに加速したようだ。
その東京の中でも今後10年で街の風景が最も大きく変わるのは、おそらく渋谷の街だ。高度成長期以降、連綿と変化し続けてきた渋谷が、数年でこれまで以上に大規模に変貌する。
渋谷は1970年代からずっと若者文化の中心地だった。区役所に向かう坂の途中に「パルコ」がオープンしたのもその頃だ。1980年代は堤清二と五島昇という強力な総帥を擁するコングロマリット対決「西武vs東急」という図式で、次々と開発が進む。その後、1990年代にはファッションや音楽などサブカル分野で「渋谷系」と呼ばれる若者文化が花開き、チーマーが跋扈する街になった。
来街者の低年齢化が進み、「渋谷は大人にとって魅力が乏しい街」とみられ、2000年以降は「渋谷の斜陽化」が囁かれるようになった。
しかし2010年代に入り渋谷は再び活性化する。IT企業の集積など渋谷エリアの特性を背景にクリエイティブコンテンツ産業の活性化と観光都市化が目標として掲げられ、東横線の地下鉄化を手はじめに、地下鉄銀座線など交通インフラの整備を中核として、大規模かつ総合的な開発が目白押しだ。
2012年春、「渋谷」駅の東口に登場した「渋谷ヒカリエ」は渋谷のランドマークとしてすっかり定着した。 商業、劇場、オフィスが入居するこの地上34階、地下4階の巨大施設は、東急グループがその本拠地である渋谷を次の時代に向けてどのように変えるのか、その方向性を示す最初の施設。2019年11月にはヒカリエ正面、東横線渋谷駅、JR渋谷駅の真上に超高層複合ビル「渋谷スクランブルスクエア」がオープン。代わりに再開発を控えた東急百貨店東横店は2020年3月末で閉店する。
また、かつて西武セゾングループが渋谷商圏の人の流れを変えたとされる「渋谷パルコ&パルコ劇場」も立て替えが進められ、商業施設のパルコは2019年11月22日に192店舗のテナントが入居して再オープン。オリジナルBGMの監修を小山田圭吾のソロユニット「CORNELIUS」(コーネリアス)が担当することが決まった。
そのパルコの7階から9階部分に導入されるパルコ劇場は20年3月にグランドオープンする。座席数は458席から636席に拡張。こけら落とし公演として2020年1月下旬から2月にかけて『志の輔らくごin PARCO 2020』、藤田俊太郎演出による『ラヴ・レターズ』を上演。2021年5月上旬までに14作品の「オープニングシリーズ」公演が行なわれる。
2020年以降、渋谷エリアは大きく変貌する。
公開日:2020.01.24著:吉田 恒道
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