大阪府八尾市の特徴を知る
大阪府「八尾市」の特徴 ― ニッポンの自治体 ―
「河内音頭発祥の地」の街は、歯ブラシ生産日本一の“モノづくりの街”
大阪府八尾市は、大阪府の中央部東寄りに位置し、西は大阪市に、北は東大阪市に、南は柏原市・松原市・藤井寺市に、東は生駒山系を境にして奈良県に接する。1948年(昭和23年)に市制施行した。現在の総面積は41.72平方キロメートルだ。
大阪府・八尾市のマンション
2018年に大阪府・八尾市で販売された新築マンションは4戸で、相場価格は3766万円~3857万円。中古マンション相場価格は1540万円~3290万円である。
大阪府八尾市の人口は、2019年1月現在、26万6943人で、総世帯数は12万4356世帯だ。人口は大阪府下で9番目、2001年(平成13年)に特例市となった。
八尾市の名称の由来は、昔、この地に一羽の美しい声のウグイスが住んでおり、そのウグイスには尾羽根が八枚あったという。このウグイスが止まる木を「八尾木」と呼ぶようになり、この村を「八尾」と呼ぶようになったといわれている。ほかにも、八尾の地には大昔、弓や矢を生産する部族が多く集まっていて、出来上がった矢を背に負い運ぶことが多かったことから、「矢負い」が「矢尾」、「八尾」になったという言い伝えや、この地を流れる旧大和川の洪水を防ぐ堤を造成する際に数えきれない「八百」(たくさんの)の杭を打ったことから転じて「八尾」になったという諸説が残る。
「河内音頭発祥の地」として伝わる歴史遺産の街
八尾市東部にある高安山の山麓は、地元で「やまんねき」と呼ばれ、古くから人々が暮らす里山で歴史遺産の宝庫といえる。なかでも、中河内最大の前方後円墳の心合寺山(しおんじやま)古墳や、200基以上もの横穴式石室墳が集中する「高安千塚(たかやすせんづか)」は全国的にも知られる遺跡群だ。
また、「河内音頭発祥の地」と伝わる常光寺の正調河内音頭は、室町時代に常光寺再建の際に木材を旧大和川から運んだときに歌われた木遣り音頭がルーツとされる。流し節とも言われ、ゆったりと語りかけるかのような情緒ある音頭である。毎年8月下旬に開催される八尾河内音頭まつりでは、河内音頭一色となり多くの市民で賑わう。
同市の特産品として有名な「八尾枝豆」は、生産地の八尾と大消費地の大阪市が隣接しているため、完熟の状態で出荷できるために大粒で、実がしまっていて甘みがあり、鮮度良好なのが特徴。「八尾枝豆」は近畿地方で第1位の収穫量を誇る。
産業都市「八尾」は、全国一の生産量を誇る“歯ブラシの街”
明治以降、八尾市域では綿糸生産が発達したが、次第に外国産の安い綿花の輸入を求める声が紡績業界から挙がり、輸入綿花関税が撤廃され、八尾の綿花栽培は大正末期に急速に衰える。その後は綿を生産していた農家や工場がブラシ生産に活路を見出し、いわゆる地場産業になったとされる。現在では歯ブラシの生産量が日本一で、全国生産量の40%を占める。
一般的に大阪府下では東大阪市の方が、中小企業都市、モノづくり都市として有名で、出荷額、工場数などすべての数字において東大阪市が八尾市を上回っていたが、2007年(平成19年)に八尾市の製造業出荷額は東大阪市を抜き、その後も差は拡がっている。2016年度は、工業生産による出荷額総計で9700億円超を達成し、人口、市面積などを考慮すると、臨海工場地帯を持つ政令指定都市である堺市を凌駕する産業都市である。
1889年(明治22年)に大阪鉄道(現在のJR大和路線)、1924年(大正13年)に大阪電気軌道(現在の近鉄大阪線)が開通したことで、大阪市近郊のベッドタウンとして発展する。
現在、市域の中心となる鉄道駅はJR八尾駅よりも乗降客数で圧倒する近鉄八尾駅である。
公開日:2020.01.06著:吉田 恒道